試し読みページ

https://5948chiri.com/readtrial/

9 各論4:体温(内分泌系):甲状腺・副甲状腺(1)

2023年4月4日

頚部パートは「代謝」と

「骨代謝」に分けることができますね。

前半パートの「代謝」は、

体温に直結するところです。

 

「どうして?」と思った人は、

生物(もしくは生化学)の「代謝」を復習です。

代謝は同化と異化を含む概念で、

異化は(呼吸に代表される)

「複雑なものを分解してエネルギー(ATP)と

単純なものを取り出す」ことでしたね。

 

取り出したATPが細胞の活動のもとで、

筋収縮や神経伝達等に必要不可欠でした。

肝臓での分解や筋肉の収縮によって「熱」が作られて、

寝ていても必要なエネルギーが基礎代謝、

活動すると必要になるのが活動代謝でしたね。

基礎代謝の7割近くは、

体内(消化)酵素の最適温度である体温維持に使われます。

だから「代謝のコントロール」は、

「体温のコントロール」でもあるのです。

 

代謝に必要な栄養

(糖質・脂質・タンパク質)の取り入れは、

先の消化器系ブロックで確認しましたね。

もう1つの必要なもの「酸素」は、

この後の「呼吸」ブロックでの確認になります。

ここでは栄養も酸素もそろった状態で、

どれくらい代謝(異化)をするのかを命令する

ヨウ素からできた甲状腺ホルモンに注目しますよ。

 

甲状腺ホルモンには、ヨウ素からできた脂溶性ホルモンの

トリヨードチロニン(T3)とチロキシン(T4)と、

水溶性ホルモンのカルシトニンがいましたね。

カルシトニンには、

後半の「骨代謝」まで待っていてもらいましょう。

 

甲状腺機能亢進症になったとき、

甲状腺ホルモンの過剰分泌が起こってしまうことがあります。

そうすると代謝が過度に更新するので、

意味なく汗をかき、頻脈になり、ほてりや熱感が出てきます。

…これでは体内栄養の無駄遣いですね。

だから、トリヨードチロニンやチロキシンの合成を

邪魔するお薬を使います。

チアマゾール(メルカゾール)を紹介しますね。

https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00052463

 

チアマゾールは

トリヨードチロニンやチロキシンを作るところを邪魔します。

無駄遣いが止まって一安心…と思いたいところですが。

数か月以内に、死の危険がある

「無顆粒球症」発生の可能性があるよ、

と警告されています。

白血球の中でも好中球が極端に少なくなって、

日和見感染すら起こってしまう状態です。

発症してるかいないかを確認する必要があるため、

2週間に1回は白血球の分画検査

(数だけでなく、種類ごとの確認)になります。

患者さんの採血負担に注意してくださいね。

このように「血球に何らかの影響が出る」ため、

中等度以上の血液障害は慎重投与対象ですよ。

 

他にも注意するところがありますが、

少々長くなるので、次回おはなししますね。

 

【今回の内容が関係するところ】(以下20230404更新)