9 各論4:体温(内分泌系):甲状腺・副甲状腺(1)
頚部パートは「代謝」と
「骨代謝」に分けることができますね。
前半パートの「代謝」は、
体温に直結するところです。
「どうして?」と思った人は、
生物(もしくは生化学)の「代謝」を復習です。
代謝は同化と異化を含む概念で、
異化は(呼吸に代表される)
「複雑なものを分解してエネルギー(ATP)と
単純なものを取り出す」ことでしたね。
取り出したATPが細胞の活動のもとで、
筋収縮や神経伝達等に必要不可欠でした。
肝臓での分解や筋肉の収縮によって「熱」が作られて、
寝ていても必要なエネルギーが基礎代謝、
活動すると必要になるのが活動代謝でしたね。
基礎代謝の7割近くは、
体内(消化)酵素の最適温度である体温維持に使われます。
だから「代謝のコントロール」は、
「体温のコントロール」でもあるのです。
代謝に必要な栄養
(糖質・脂質・タンパク質)の取り入れは、
先の消化器系ブロックで確認しましたね。
もう1つの必要なもの「酸素」は、
この後の「呼吸」ブロックでの確認になります。
ここでは栄養も酸素もそろった状態で、
どれくらい代謝(異化)をするのかを命令する
ヨウ素からできた甲状腺ホルモンに注目しますよ。
甲状腺ホルモンには、ヨウ素からできた脂溶性ホルモンの
トリヨードチロニン(T3)とチロキシン(T4)と、
水溶性ホルモンのカルシトニンがいましたね。
カルシトニンには、
後半の「骨代謝」まで待っていてもらいましょう。
甲状腺機能亢進症になったとき、
甲状腺ホルモンの過剰分泌が起こってしまうことがあります。
そうすると代謝が過度に更新するので、
意味なく汗をかき、頻脈になり、ほてりや熱感が出てきます。
…これでは体内栄養の無駄遣いですね。
だから、トリヨードチロニンやチロキシンの合成を
邪魔するお薬を使います。
チアマゾール(メルカゾール)を紹介しますね。
https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00052463
チアマゾールは
トリヨードチロニンやチロキシンを作るところを邪魔します。
無駄遣いが止まって一安心…と思いたいところですが。
数か月以内に、死の危険がある
「無顆粒球症」発生の可能性があるよ、
と警告されています。
白血球の中でも好中球が極端に少なくなって、
日和見感染すら起こってしまう状態です。
発症してるかいないかを確認する必要があるため、
2週間に1回は白血球の分画検査
(数だけでなく、種類ごとの確認)になります。
患者さんの採血負担に注意してくださいね。
このように「血球に何らかの影響が出る」ため、
中等度以上の血液障害は慎重投与対象ですよ。
他にも注意するところがありますが、
少々長くなるので、次回おはなししますね。
【今回の内容が関係するところ】(以下20230404更新)