1 イントロダクション(2)
日本の人口増減についての確認中。
今回は「出生」の番ですね。
ヒトが生まれるためには、
(人工生殖を除き)性行為が必要になるはず。
性行為(性行動)は、社会の影響を強く受けます。
では、ヒトの社会(日本)はどのように変化してきたのか見てみましょう。
戦争時の「産めや増やせや」は終わりを告げ、
人権意識が徐々に広がっていきました。
特に「男は外、女は中」と固定されていた役割構造に
「男女平等」という変化が起こり始めたのです。
「女性も外で働く!」ことが当たり前になってきたのですね。
さらに近年は各種価値観の多様化も生じました。
「別に結婚しなくてもいい」、
「結婚しても、子どもはいらない」等々ですね。
「結婚しても、働き続ける」という選択肢が現実的なものになったのです。
これら人々の意識変化が重なり、
さらには教育費に代表される育児費用の増大もあって、
出生につながる性行動は結果として減少しました。
「少なく産んで、大事に育てる」に変化した…
それが「出生数の大減少」の背景にあるものです。
もちろん、社会の変化は出生数だけでなく「家族構造」にも変化をもたらしました。
以前は、3世帯(親・子・孫)は当たり前でした。
今は…親子の2世帯が多数ですね。
むしろ「本人のみ」の1世帯が増加しています。
前回の死亡数減少の最後に「地域へ」の流れがあると書きましたが。
「地域に戻ってきても、受け止めてくれる家族すらいない!」
…これ、十分に起こりうる状態です。
家族以外に頼ろうにも、近所も同様で、
各種資源(ヒトも、金も、仕組みも)が足りない…
これでは八方ふさがりになってしまいますね。
だから「大変!」なのが、まさに現在の日本の状況です。
話をもとに戻しましょう。
このように、統計に出てくる数字(総人口、出生数と死亡数)と
そのときどきの法制・行政(定めたものと政府の方針)には深い関係があります。
ちゃんと「ヒト(と健康)」と重ねていけば、
この2科目は暗記科目ではなくなってくるのです。
次回は「健康」とその前提からおはなしをはじめることにしましょう。