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5 脳神経系と内分泌系のおはなし(20)

2022年9月23日

間脳の補足。

食欲中枢と、

概日リズム(サーカディアンリズム)のおはなしです。

 

食欲中枢には空腹中枢と満腹中枢が含まれます。

これらは視床下部にあります。

動物実験では、何らかの原因で壊れてしまうと

「やせ衰えて、

目の前に食事があっても食べようとしない」や、

「動けないほど太っても、

食事がある以上食べっぱなし」になってしまいます。

あと、間脳と小脳の間に「松果体」と呼ばれる部分があり、

そこから出るメラトニンというホルモンが、

睡眠タイミングをコントロールしています。

窓のない閉鎖空間でもヒト(や動物)は

大体24時間1サイクルの活動をします。

これが概日リズム(サーカディアンリズム)

でも、このリズムを正常に保つためには、

「明るい日中」と「暗い夜」の区別が必要です。

強い光(日光)を浴びると、

メラトニンの分泌量が減って活動に適した状態。

日没後光が弱まると、

メラトニンの分泌量が増えて睡眠に適した状態になります。

 

「寝る前にPCやスマートフォンをいじると

寝付きが悪くなる」と言います。

これは、端末のバックライトの明るさに

メラトニンの分泌量が減ってしまうせい。

安眠したいなら、

寝る前のメールチェックは控えた方がよさそうです。

 

さて、運動担当の小脳のおはなしに入ります。

小脳は大脳の斜め下にある、カリフラワー状の球体。

実は、大脳よりしっかりしわが寄っていて、

広げると大脳の約2倍もの広さになります。

もちろん、神経細胞数も小脳のほうが多くなっていますよ。

どうして統合・総合、判断担当の

大脳より神経細胞が多いのか。

実は、小脳の担当「運動の微調整」は大仕事です。

分かりやすいのが、姿勢の維持。

普段私たちは何気なく座り、立っていますが…

このためには全身の筋肉を

うまくコントロールする必要があります。

小脳がうまく働かなくなった

「小脳失調(状態)」では、

筋肉に異常がなくても、歩くことができません。

椅子に座っていることすらできませんよ。

 

従来より、小脳は動き(運動)に関係していることが

分かっていますが。

実は運動に関係する一定の記憶も、小脳のお仕事です。

運動のパターン化した状態の記憶…

いわゆる「身体が覚えた」状態です。

例えば歩くことは、

大人になってしまえば何の意識もせずに取れる行動。

でも、赤ちゃんはすぐには歩けません。

筋肉への命令の仕方、命令順番、命令程度等を小脳が「覚えて」、

歩行のパターンをつかむまでに、約1年かかります。

それまでは、「はいはい」や「つかまり立ち」で移動ですね。

 

次回は、中脳のおはなしに入りますよ。

 

【今回の内容が関係するところ】(以下20220923更新)