3 憲法・法律:(1)イントロダクション
後半パートの、法制・行政のおはなしです。
先に法律のうち基礎になるところを紹介し、
その後で行政と法制度の移り変わりを紹介していきましょう。
最初に、社会(公民?)の復習。
日本の権力分立と、憲法についてのおはなしです。
中学校以来の人も、つい先日まで受験科目にしていた人も。
「またかー」と言わずに、一緒に確認していきますよ。
日本の国の権力は、司法と立法と行政の3つに分かれています(三権分立)。
司法は裁判所、立法は国会、行政は内閣が実際に権力を行使するところですね。
では、なぜ3つに分かれているのか。
それは国の大元になる「憲法」にそう書いてあるからです。
憲法というのは、
「この国はこういう決まりにしようねー」という基本的な決まりごと。
変えることもできますが…
最終的に国に属している人の過半数が「変えるー!」と賛成する必要があるので、
ハードルは極めて高いですよ(憲法改正)。
そんな憲法に司法よりも、立法よりも、行政よりも先に書いてあること。
それが基本的人権です。
「この国の人には、こんな権利があるんだよ」ということを、
ちゃんと明らかにしてくれているのですね。
そして国内のすべての決まり(法律、政令、規則等)は、
憲法をもとにして作られています。
だから憲法を理解することは、
全ての決まりの原点を理解することにつながります。
とはいえ、ここで憲法のすべてを説明することはできませんので。
看護に関係の深いところだけを紹介していきますね。
憲法の定める「基本的人権」は、常に尊重されなければいけません。
しかも、それら人権はすべての人に内在しているものです。
国が作り出して分け与えているものではありません。
全ての人に内在している権利。
ここをもとに出てくるのが「個人の尊厳」と「ノーマライゼーション」です。
ノーマライゼーションについては、前半パートでもおはなししましたね。
障害のある人も、障害のない人も。
同じように生活して共にいきいきと活動できる社会をめざす…でした。
「障害があろうがなかろうが、その人は『その人』として尊重される!」
これが憲法の「基本的人権」のスタンスです。
「個人の尊厳」は「その人は『その人』として尊重される!」の部分です。
年齢や性別等は、「その人」の属性でしかありません。
属性いかんによって個別に気をつける点があることは事実ですが、
「その人」の存在・意見等は尊いものとして大事にされる。
憲法の定める基本的人権の尊重は、
大事な基本であることを分かってくれましたか?