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3 憲法・法律:(2)憲法の「基本的人権」

2019年11月20日

憲法の「基本的人権」をもとにして、

特に「患者の権利」と呼ばれているものがあります。

「自己決定権」と「自己情報の管理」が、代表的な「患者の権利」ですね。

これら患者の権利の前提には、

自己の情報を把握するための「インフォームドコンセント」も必要ですね。

 

自己決定権というのは、自分のことは自分で決める権利。

特に医療の世界では、

手術等の治療方法や終末期のあり方について、

自分で自分のことを決める側面で出てくる言葉です。

 

他人が決めて、うまくいっているうちは問題になりませんが。

他人の決定の結果よろしくないことが起きたときにはどうでしょう。

自分の決定ならしぶしぶでも納得できますが、

他人の決定では悔やんでも悔やみきれません。

ましてや、自分の命より大切なもの

(例えば信仰上の理由)があるなら、なおさらです。

 

「その人は『その人』として尊重されるべきもの。

だから『その人の決定』も尊重してね!」

自己決定権が言っていることは、こういうことですね。

 

さて、自分で決めるためには「決めるための情報」が必要になります。

現在の自分の状態は?

治療方法は?

それらのメリットとデメリットは?

情報を提供してもらわないことには、納得できる自己決定はできません。

それら情報を有している医療従事者が説明をしたうえで、本人が同意する。

これがインフォームドコンセントですね。

「十分な情報を得た上での合意(同意)」と訳されます。

 

「その人」が選択・決定したわけではないのに、

この方法がなぜ許されるのか。

それは「医療の専門職が、患者のことを第一に考えて、

最善と思われる方法を選択したであろう」と推測されるから。

ここについては、少し先の「民法レベル」のところでもう1回説明しますからね。

 

そして提供された自分の情報は、他人に知られたくないものも含まれています。

自分の現在や過去の病気は、親しい人ならまだしも、

見知らぬ人に勝手に知られたいものではありませんね。

だから医療を受けている人(その人本人)が、

情報を他に漏らさぬよう(広まらぬよう)管理することが「自己情報の管理」です。

 

もちろん、本人と同レベル

(ときによってはそれ以上)の情報を有している医療従事者は、

他者(医療を受けている人)の情報を他に漏らしてはいけません。

これは「自己情報管理」以上に問題となりうるので、

「民法レベル」でもっとしっかり定めることになりましたよ。