3 憲法・法律:(3)民法レベル[補足7]
労働安全衛生法は、昔は労働基準法の一部分でした。
書いておきたい内容が増えてきたので、
独立させて別の法律の形をとったものです。
だから「労働基準法では書ききれなかった(安全と衛生に関する)
労働者保護が書いてある!」と思ってくださいね。
労働安全衛生法は産業医に健康管理を行わせることや、
安全衛生委員会(安全委員会と衛生委員会を分けることもあります)を設けて、
安全と衛生に関して雇う人に意見すること等を定めています。
その上で働く人(労働者に)
「必要な安全衛生教育をしなくてはならない」のです。
ケガや病気をせずに、しっかり働いてもらうために必要な情報を提供するためです。
情報提供だけでは、実践してもらえないかもしれませんね。
そこで大事になってくるのが健康増進のための措置。
医師による健康診断を受けてもらうのです。
これは雇う人(使用者)にとっても働く人(労働者)にとっても、義務ですよ。
さらに必要があれば保健指導や面談指導。
特定データに異常があれば(厚生労働省で定めたもの)、
労働災害補償法の「二次健康診断等給付」につながるのです。
もちろん心理的負担(いわゆるストレス)に対しても、
程度把握検査の定めが労働安全衛生法にありますよ。
また、病気にかかっている人が働いていては、
その職場全体に広まってしまう可能性がありますね。
そこで行われるのが
「伝染性その他の病気にかかっている労働者に対する就業禁止」です。
これを書いている2019年現在では、
全国で流行中の麻疹(はしか)でイメージするといいですね。
就業禁止と同じブロックに「受動喫煙防止」の規定もあります。
受動喫煙によって引き起こされる各種の害が、
「職場全体に広まってしまう可能性がある」と考えると、イメージしやすいはず。
他にも雇う人(使用者)が管理体制を整える重要性が高いものについては
「危険・健康障害防止の措置」が必要です。
例えば、労働安全衛生法22条では
「具体的に以下のものに注意して!」といっています。
「原材料、ガス、蒸気、粉じん、酸素欠乏空気、病原体等」による健康障害、
「放射線、高温・低温、超音波、騒音・振動、異常気圧」による健康障害、
「計器監視、精密工作等の作業」による健康障害、
「排気、排液、残さい物」による健康障害…です。
どうしてこれらが働く人(労働者)にとって危険で、
健康障害を引き起こすかイメージできていますか。
次回、そのうちの一部を確認しておきましょう。