11 ホルモンのおはなし(10)
副腎皮質ホルモンの、ちょっと詳しいおはなしです。
今回は、鉱質コルチコイドのアルドステロンについて。
ミネラルコルチコイドとも呼ばれるように、
腎臓に作用して、血液と尿のミネラルを調節するホルモンです。
ミネラルのうち、特にナトリウムとカリウムに対して働きます。
大事なことを覚えてしまいましょう。
「レニン・アンギオテンシン・アルドステロン系は、血圧を上げたいときの呪文」です。
血圧を上げたくなったら、
「レニン・アンギオテンシン・アルドステロン!」ですよ。
何が起きているのかを説明しますね。
血圧が下がると、腎臓に流れ込む糸球体(血管ですね)の傍ら(かたわら)にある
「傍糸球体装置」がそれを感じ取り、レニンを出します。
レニンはアンギオテンシンのもと「アンギオテンシノーゲン」を起こして、
アンギオテンシンⅠに変えます。
起こされたばかりのアンギオテンシンⅠはまだ寝ぼけているので、
肺でアンギオテンシンⅡへとしっかり起こしてもらいます。
しっかり目覚めたアンギオテンシンⅡは、
アルドステロンに「おい、血圧低いってよ!」と呼びかけます。
これでアルドステロンが原尿からナトリウムイオンを引き込みます。
ナトリウムイオンは水と仲が良いので、
ナトリウムイオンと一緒に水分も毛細血管内に再吸収されます。
血管内に水分が増えたので、血管にかかる圧力が上がります。
これで、血圧が上がるのです。
もっとも、血圧を上げるだけなら下垂体後葉のバソプレッシンのほうが直接的。
アルドステロンは、「ミネラル(イオン)の出し入れ」に注目してください。
先程は血圧が上がる機序に注目しましたが、もう少しミネラルの動きに注目しましょう。
アルドステロンが働くことで、
尿細管中の原尿から体内にナトリウムイオンと水を再吸収していました。
でも、これで終わってしまっては体の中がプラスに傾いてしまいます。
ナトリウムイオンはNa+だったからですね。
だから代わりに血液からカリウムイオン(K+)を尿細管内に出してあげます。
プラスを再吸収して、プラスを分泌すれば、
体のプラスマイナスはうまく維持できそうです。
これはアルドステロンの大事なお仕事!
血液中カリウムイオン濃度が高くなると心臓が止まってしまうこと、
ミネラルのところでおはなししましたよね。
そんなことにならないように、アルドステロンは
血液中のカリウムイオンを原尿経由で体外に排出しているのです。
カリウムイオンがどちらに多くて、どんな働きに関係しているのか。
忘れてしまった人は「9 ビタミンとミネラル」を復習ですよ。