3 憲法・法律:(4)刑法レベル

民法レベルの「患者さんとの関係性」と

「勤めるところ(勤務先)との関係性」についておはなししました。

 

ここで刑法レベルのおはなしに入りましょう。

刑法が扱うのは「何かが害された!」というおはなし。

しかも金銭で何とかすることが多い民法とは違い、

「害したあなたをそのままにしておけない!」として

刑務所に入れられる可能性があるのが刑法です。

 

「そんなこと普通の医療業務ではありえないよ…」と思いたくなりますが。

実は意外なほど身近に刑法レベルのおはなしは転がっています。

 

例えば、刑法は「他人の体を傷つけるのは許さないよ!」と定めています。

このとき明らかに(文章化)されてはいませんが、

「精神を傷つけても(身体に)分かる影響が出たら同じこと」とするのが

裁判所の判断です。

 

…落ち着いて考えると、看護師は採血時に針を体に刺しますね。

これ、立派な「他人の身体を傷つける」行動(行為)です。

 

「ええっ!刑務所?!」とあわてないでくださいね。

「正当な業務」としてしたことで、患者さんの同意があるなら、

裁判所は

「他人の身体を傷つけたことには違いないけど、悪いことはしてないね」と

「刑務所に入らなくていいよ!」と判断してくれます。

 

「正当な業務」というのは、

「目的も手段もちゃんとしている(繰り返し行っている)作業」を意味します。

看護はヒトを心身共により良い状態にする目的で、

心身の構造と機能を十分に理解したうえで、

実習を経て身につけてきた手技を行う(手段)ものですね。

そしてそれは日々繰り返して行われるものです。

決して他人を痛めつける目的で、

適当なところに針を刺すものではありません。

 

そしてその上での「患者さんの同意」とは、

憲法レベルでおはなしした「自己決定(権)」のことです。

「体の今の状況を知るために、針を刺して血を採る必要があるんだね。

それなら、針を刺して血を採ってもいいよ。」

患者さんがこう自己決定してくれるから、

看護師は「他人の身体を傷つけた!」として刑務所に入らずに済むのです。

 

刑法レベルのおはなし、けっこう身近にあったことに気付けましたね。

とはいえ、採血のたびに患者さんに自己決定してもらうのは大変です。

だから入院時や検査時には、

その旨を書いた紙を読んでもらって、サインをしてもらう形になっているはず。

もちろん手術のように「それ以上身体を傷つける」ときには、

個別の説明とサインが必要になりますよ。

 

憲法レベルの自己決定権は、刑法レベルにも関係してくるのです。

だからこそ、前提になる

インフォームドコンセントと情報の管理をおろそかにしてはいけませんよ。