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4 皮膚・粘膜のおはなし(7)

皮膚の「困った!」の例として、

アトピーに続いてニキビのおはなしです。

毛穴のおはなしでもありますね。

 

皮膚には毛の生える穴(毛穴)があります。

毛穴の途中には皮脂を出す腺(脂腺)の出口もあります。

だから、毛穴からは毛と皮脂が皮膚の表面に出ることになりますね。

 

ニキビの正式名称は「痤瘡(ざそう)」。

青年期にでる吹き出物のことですね。

ニキビの始まりは、毛穴の途中で皮脂と角質がつまったこと。

毛穴の途中で詰まった後、

毛穴の入り口が閉じていると膨らんだだけの「白ニキビ」。

毛穴の入り口が開くと、

中に詰まっているものが見えて「黒ニキビ」。

ここまでは、皮膚は炎症を起こしていません。

皮膚表面上の毛穴のトラブル

(「詰まっちゃったー」)にしかすぎません。

 

でも、毛穴がつまると奥にいる細菌たちの様子が変わってきます。

特に酸素がなくて元気になるのがアクネ桿菌。

毛穴が詰まってしばらくたつと、

アクネ桿菌は角質や皮脂を食べて増え、

食べられた脂質が「過酸化脂質」になってしまいます。

これはお肌にとって刺激物。

一刻も早く取り除きたいものです。

白血球の仲間マクロファージがこれを見つけると、

仲間を呼びつつ過酸化脂質の排除を始めます。

白血病が仲間を呼ぶということは、炎症物質が出るということ。

赤く腫れて、痛みも出てきて…これが「赤ニキビ」。

細菌等を処理し終えた後が、膿の残った「黄ニキビ」です。

 

では、ニキビを予防するにはどうしたらいいか。

一番簡単かつ基本になるのは、毛穴を詰まらせないことですね。

でも、青年期は性ホルモンの分泌が盛んなせいで、

どうしても皮脂が分泌過剰になります。

それは仕方ないので、多すぎた分は取り除いてあげましょう。

 

ここで注意!

1日に、何回も、強力な洗顔料でごしごし…は逆効果です。

皮脂はごっそりなくなると、分泌がさらに盛んになります。

「わっ!皮膚の表面ガードなくなっちゃった!

大変!ちゃんと防御壁はらなくちゃ!」ということですね。

だから体を内側から温めて、柔らかくしつつ自然に洗い流すのが一番。

スポーツをして、お風呂で体を温めて、発汗。

あとは水やお湯で、

しっかり泡立てたセッケンの泡をのせて、洗い流す。

予防としてはこれで十分です。

 

ニキビができてしまったら。

炎症が起きるまえは、予防と同じことが治療法。

してはいけないことは、

「ニキビに刺激を与えること」です。

手で触る、髪の毛でわざと隠す…なんてもってのほか。

場合によっては日光や化粧品、洗顔料や薬も「刺激」になりえます。

炎症前のニキビを、

炎症後のニキビにする必要なんてありませんよ!

 

炎症を起こしてしまったら。

これ以上餌になるものをアクネ桿菌に与えないようにしましょう。

これ、予防と全く同じおはなしです。

ただ、もう炎症が起きてしまっているので、

刺激とならないように細心の注意を払ってくださいね。

さらに、異物処理班のマクロファージ達を元気にしてあげましょう。

実は、これは簡単。

健康に、元気に生活していればいいのです。

マクロファージは免疫系の細胞。

免疫系は、ヒトの気分に大きく作用されます。

よく笑う、ほがらかに生活する。

これらの行動で免疫系細胞の数が増え、元気に働くようになります。

逆にくよくよ思い悩むと、

免疫担当細胞があまりできず、働きも鈍くなります。

「ニキビができても気にするな」というのは、

触らないだけでなく、

精神面においても大事な格言なのです。

 

即効性を求めるときには、消炎鎮痛剤はもちろん有効。

でも、異物(ここでは過酸化脂質)がなくならないことには、

炎症が残ることをお忘れなく!