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おいしくたのしく生化学2(1):レシピ付き

2019年5月2日

ちょっと気が早いですが、

春のお野菜スープのご紹介です。

主役のお野菜は3種のみ。

でも、ちょっと大人の風味を味わえるスープですよ。

春スープ

材料は玉ねぎ1/4個、セロリ5㎝ほど。

ルッコラは大きめの葉を2~3枚。

あとはお好きな余り野菜、油、塩コショウ、水。

ルッコラさえ手に入れば、あとは問題なくそろうはずです。

 

作り方は以下の➀~③です。

➀玉ねぎはくし形切り、

セロリは皮をむいて一口大に切ってください。

食べやすい大きさ、形ならそれでかまいません。

 

②玉ねぎとセロリをを鍋に入れて、

ひたるくらいの水を入れて

野菜が柔らかくなるまで煮てください。

柔らかくなったら、少し冷ましてから塩コショウ。

この時点で、十分甘いスープになっているはずです。

塩とコショウは入れすぎてはいけませんよ。

 

③あとは、食べる直前に温めなおして、

一口大に切った(ちぎった)ルッコラを入れて、

かき混ぜてから器にもってください。

 

以上で完成。

前回の冬のスープよりも簡単ですね。

可能な限り、ルッコラを入れてください。

ルッコラが見つからないなら、クレソンならオーケーです。

 

どうしてルッコラ(やクレソン)にこだわるのか。

それは、春という季節と関係があります。

 

動物にとって、春は冬眠からの眼ざめの季節。

冬眠中消化器系はずっと休んでいましたから、

眼ざめにちょっと刺激のある食べ物を食べたくなるのです。

そんなときに役立つのが苦味のある春の草。

苦み成分は消化液の分泌を促し、

寝起きの消化管がしっかり目覚めて、

活動の季節へとスムーズに移行できるようになっています。

 

ヒトは、冬眠しませんが。

動物の一部であることに変わりはありません。

その証拠に、

苦みを一番おいしく感じるのは春だといわれています。

時間と食材が手に入るなら、

春の野草(に属する植物)の料理を食べたいところ。

そんな暇ないよ!というときには、

この春のスープで苦味を感じてほしいのです。

 

このスープの苦味担当はルッコラ(とクレソン)。

ルッコラの苦味はワサビと同じイソチアネート。

ルッコラは別名ロケット、和名はキバナスズシロです。

スズシロ…これ、春の七草の1つですね。

そう、七草がゆは春のお粥でもあるのです。

ルッコラは生で使われることが多いものですが、

これはその苦みをできるだけ消さないためと、

豊富な栄養成分を逃さないため。

もっとも、このレシピはスープのため、

多少火が入りすぎても、

栄養成分は飲み干せてしまうので安心ですね。

 

次回、栄養成分のおはなしに入りますよ。