2 呼吸器系のおはなし(6)
呼吸筋による呼吸の仕方を勉強しましょう。
まずはイメージしやすい腹式呼吸からいきましょう。
腹式呼吸は、横隔膜の上下で胸郭の広さを変えます。
横隔膜は胸郭の底にあたります。
横隔膜がググっと上がると、胸郭が狭くなりますね。
「胸郭は閉鎖された空間」でした。
胸郭が狭くなると、
中に入っている肺胞は周りから押し縮められます。
肺胞から押し出された空気は、鼻や口から出ていきます。
これが「息を吐く(呼気)」です。
異物がのどに詰まったときに使われるハイムリック法は、
外からの力で横隔膜を押し上げて、
強制的に勢いの良い呼気を出させていますね。
逆に横隔膜がググっと下がると、胸郭が広がります。
今度は肺胞に周囲からかかる力が小さくなりますから、
肺胞が広がります。
広がった肺胞に外から空気が入っていきます。
これが「息を吸う(吸気)」ですね。
腹式呼吸は、成人や男性に多い呼吸方法です。
続いて胸式呼吸。
こちらは肋骨の間にある肋間筋が
動くことで胸郭の広さを変えます。
肋間筋は、
外側にある外肋間筋と内側にある内肋間筋に分けられます。
簡単にまとめると
「内肋間筋が収縮すると息を吐き、
外肋間筋が収縮すると息を吸う」
なのですが…これだけではイメージしにくいですよね。
だから、体を横から見たところを思い浮かべてください。
胸郭の外側には、背骨があって胸骨がありますね。
すごく大雑把にとらえると、
胸郭を横から見ると台形になります。
背骨が長い辺、胸骨が短い辺、
胸骨と背骨の間が「高さ」ですね。
台形の面積の求め方、覚えていますか?
「(上辺+下辺)×高さ÷2」でしたね。
何が言いたいのかというと、
「胸骨と背骨の間が広がれば、
胸郭は広がり(横から見たとき面積が増える)、
胸骨と背骨の間が狭まれば、
胸郭は狭まる(横から見たとき面積が減る)」のです。
内肋間筋が収縮すると、胸骨と背骨の間が狭くなります。
胸郭が狭まるので、肺胞に周囲から圧力がかかります。
肺胞から押し出された空気が鼻と口から出ていく
…「息を吐く(呼気)」です。
逆に外肋間筋が収縮すると、胸骨と背骨の間が広がります。
胸郭が広くなるので、肺胞に周囲からかかる力が少なくなり、
肺胞の中へと空気が入っていきます
…「息を吸う(吸気)」です。
この肋間筋が主役になる胸式呼吸は、
女性や小児に多い呼吸方法です。
横隔膜と比べて肋間筋は小さい筋肉なので、
何らかの原因でせきなどが続くと、
肋間筋が疲れてしまうことがよくあります。
そんなときには、
できるだけ胸ではなくお腹を動かすようなつもりで
腹式呼吸を誘導してあげてくださいね。
腹式呼吸と胸式呼吸、理解できましたか?
肺(肺胞)には筋肉がついていないので動けないから、
周囲の空間(胸郭)の大きさを変えることで
空気を出し入れすることが大事。
次回は「まだ足りない!」ときの
呼吸についておはなしします。
【今回の内容が関係するところ】(以下20220822更新)