12 末梢神経のおはなし(2)聴覚・触覚と皮膚(前半)(1)

1 聴覚の異常

聴覚は音を電気信号に変えて脳に伝えますね。

そのためには音を集めて、

音を増幅してから、

電気信号に変換する必要があります。

音を集めるところが鼓膜までの外耳、

増幅するのが鼓膜と耳小骨の中耳、

変換するところが蝸牛のある内耳。

蝸牛には内耳神経(第8脳神経)がつながっていて、

脳へと電気信号を届けてくれます。

蝸牛のすぐ上には三半規管があって、

平衡覚も脳に伝えてくれます。

内耳神経は聴神経(聴覚担当)と

前庭神経(平衡覚担当)に分かれているので、

第8脳神経は聴覚・平衡覚担当神経ですね。

 

そんな聴覚の「おかしい!」は

イメージしやすい外側(外耳)から行きましょう。

外耳炎の代表は、かゆみの出るびまん性外耳炎。

耳かきのやりすぎ等で、

外耳で炎症が起きてしまった状態です。

気になりますが、触らないことが一番の治療。

補助的に薬を使うこともありますよ。

 

(1)中耳炎、難聴

鼓膜より内側の炎症が中耳炎。

のどの痛み、鼻水(鼻汁)等の出る

急性上気道炎を起こしたことで、

上咽頭から耳管を経由して起こる、

中耳粘膜の感染症です。

耳管は、鼻の粘膜に開口している

中耳からつながる管。

耳が気圧変化等で「つーん」としたときに、

ごくりとつばを飲み込むと治るのは、

「飲み込み」によって耳管内圧を下げたからです。

よく聞こえない(難聴・耳閉感)状態から、

膿がたまると耳痛が出てきます。

抗菌剤を使うことになりますね。

必要に応じてNSAIDsで痛み止めもしますが、

たまった膿を除く鼓膜切開をすれば、

痛みは和らぎますよ。

 

合併しうる症状は、

周囲構造の関係上結構怖いものだらけです。

内耳炎を起こすとめまいが出ます。

すぐ隣を走る顔面神経の麻痺も起こります。

髄膜炎等の頭蓋内合併症を起こすと、

激しい頭痛や意識障害までも出てきます。

放っておくと慢性化しますので、注意です。

急性炎症中はダイビングや飛行機搭乗による

気圧変化を避けてください。

中耳炎は小児に多く見られますが、

成人でも起こるもの。

成人での発症時は、

酒やタバコもダメですからね。

 

慢性中耳炎では、鼓膜穿孔も起こりえます。

急性中耳炎からの移行だけではなく

耳かき、殴打、強打等の外傷も原因です。

鼓膜は外科的にスパッと切れば、

問題なく治ります。

切れている間は少々聞こえが悪くなりますが、

「全く聞こえない」にはなりません。

でも、それ以外の切れ方・破れ方をすると、

少し変になってくっつく(変形・変性)ことがあります。

これでは、聞こえが悪くなる難聴を起こしてしまいます。

抗菌薬・点耳薬で炎症を抑えることが原則ですが、

鼓膜が「少し変になってくっつく」を起こしたなら、

鼓膜形成手術になりますよ。

注意することは、洗髪・プール時に

水が入らないように耳栓をすること。

水と一緒に細菌が鼓膜より奥に入ると、

炎症が治まりませんよ。

定期検診も必要になってきますね。