4 消化器系のおはなし(2)
消化器系の始まりは口。
口は食べ物を細かくするところですね。
歯で物理的に細かくするだけではなく、
だ液で化学的に細かくするところでもありますよ。
だ液といえば、糖質消化酵素のアミラーゼ。
だ液が出るところは3か所あります。
舌の下「舌下腺」と、耳の下「耳下腺」、
下あごの「顎下腺」です。
文字通りの位置にあるので、イメージしやすくていいですね。
おたふくかぜ(ムンプス)の正式名称は「流行性耳下腺炎」。
耳の下あたりにある耳下腺が腫れて、
「おたふく」のような外観になるから…ですね。
物理的に細かくする主役は何といっても歯。
歯がしっかりしていないと、
ここから先に進む食べ物を小さくすることができません。
食べ物を小さくできないと、
消化酵素が働くことのできる「表面」が減ってしまいます。
つまり、消化酵素の働きが悪くなってしまうのです。
これではちゃんと栄養のある食べ物を取っても、
十分に体内に取り込めません。
だから歯(と口腔衛生)は大事なのです。
歯は大人で32本。
子供の歯(乳歯)は20本で、
抜けると大人の歯(永久歯)が生えてきます。
これはあごのスペースの問題。
32本分の十分なスペースを確保できるまでには、
時間がかかります。
だからそれまでは20本の乳歯で頑張ってもらい、
あごの骨が十分に成長したら、永久歯に交代です。
残念ながら、永久歯は抜けたら代わりはありません。
サメのようにまた生えてくる…なんてことはないので、
入れ歯やインプラントのお世話になりそうですね。
歯は、見てわかる通り生えている場所によって形が違います。
前歯は、切るための「切歯(せっし)」。
少し奥に行くと、
食べ物を刺して固定するための「犬歯(けんし)」。
奥歯は臼(うす)のようにすりつぶすための
「臼歯(きゅうし)」です。
これらの断面構造は大体同じ。
一番外側がエナメル質、ちょっと内側が象牙質。
真ん中に歯髄(神経)と血管があって、
あごの骨の中につながっています。
歯があごの骨で支えられている部分
(普段は見えないところ)では、
一番外側がセメント質になりますね。
あごの骨の周りにある粘膜が、いわゆる歯肉です。
先程「口腔衛生」という言葉が出ました。
口の中をきれいにしておく…そのままの意味ですが、
これがとても重要なのです。
次回、虫歯(齲歯)と歯槽膿漏の怖さをおはなししますね。
【今回の内容が関係するところ】(以下20220912更新)