3 薬に共通するおはなし(2):分布(D)(5)

続いて相互作用の「分布」のおはなし。

先ほど出てきたワーファリンが再登場です。

 

分布のおはなしでは、

血漿タンパク質のアルブミンが血中輸送を担当していましたね。

血栓を防ぐ薬(抗血栓薬)ワーファリンも、

吸収された後は一定割合を除いてアルブミンにくっつき続けます。

それが本来の姿(想定されている状態)です。

 

ところが、そこに血液中の尿酸の量が増えすぎて結晶化する

「痛風」の薬アンツーランが入ると…。

アンツーランは、ワーファリンを追い出してアルブミンとくっつきます。

追い出されたワーファリンは血液中に

(本来予定していた量よりも多く)いますから、

「薬の量が多い」状態です。

ワーファリンが効きすぎているということは、

本来ならばかさぶたになって止血すべきところまで

血が止まりにくい状態ですね。

ちょっとしたすり傷で何時間も止血にかかる

血友病状態になってしまったらどんなに大変か…。

今まで勉強してきた皆さんなら、イメージできるはずです。

 

そして「〆(しめ)」が相互作用の「代謝」のおはなし。

肝臓が舞台になりますね。

肝臓は薬を分解して水に溶ける形にするところ。

この作業をしておかないと、排泄がうまくできません。

 

薬の分解は主に

「チトクローム(シトクロム)P450」という酵素の担当です。

薬の世界では結構有名な酵素なので、

覚えておいて損はないはず。

1つの酵素ではなく、

複数の似た作業をする酵素をまとめてこう呼びます。

例えばアセトン、βヒドロキシ酪酸、アセト酢酸をまとめて

「ケトン体」と呼ぶようなものです。

ケトン体は脳の非常食で、

糖尿病のケトアシドーシスのもとですよ。

 

肝臓で起こる相互作用の基本は、

「チトクロームP450の働きが邪魔されて、薬の効果が強く出る」です。

 

前提になる正常な代謝は、

「チトクロームP450が分解する薬があって、

薬の分解がスムーズに進む」ですね。

分解された薬は、腎臓で血液からこしとられて、

尿として体の外に捨てられます。

 

ところが「チトクロームP450が邪魔された」ということは…

「薬が分解されず血液中に残り続ける」ということです。

想定された状態よりも血液中の薬の量が多くなりますから、

「効きすぎ(て副作用が)!」ですね。

 

次回、この「邪魔」の内容をもう少し見ていきましょう。