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5 脳神経系と内分泌系のおはなし(3)

2022年9月23日

神経細胞の外観、分かりましたね。

今回からは、実際の働きを見ていくことにしましょう。

 

…でも「働き」と一言でいうには、あまりに多種多様。

だから、大まかに分けましょう。

神経細胞の役目は「情報を伝えること」と

「情報を判断して命令すること」

情報が伝わらなければ、判断なんてできません。

だから、最初は「情報伝達」に特化した

神経細胞たちのおはなしです。

 

情報伝達に特化した神経細胞たちの職場が、

「運動神経」と「感覚神経」です。

 

運動神経は、筋肉に「動け!」という情報を伝えるところ。

「動け!」という命令を出すのは脳や脊髄といった中枢です。

中枢を体の中心とイメージすると、

体の中心から遠くに向かう情報の動きです。

だから運動神経は「遠心性」ということもありますね。

感覚神経は情報を入手して、中枢に伝えるところです。

中枢に向かう…今度は体の中心に向かう情報の動きですね。

だから感覚神経は「求心性」ということもありますよ。

 

簡単に「情報」と言ってしまいましたが、

中枢に伝えられる情報にはいろいろなものがありますね。

色、温度、おいしさ、臭いにおい、騒がしいざわめき…。

その中で重要な情報が「五感」と呼ばれます。

視覚(見る)、聴覚(聞く)、味覚(味わう)、

嗅覚(嗅ぐ)、触覚(触る)です。

どれも大事な情報なので、

そこに対応した感覚神経と器官が必要です。

 

これからできるだけ簡単に

それらの感覚(神経と器官)について紹介していきますよ。

 

まずは視覚から。

私たちヒトは情報の大部分を視覚情報に頼っています。

視覚情報を伝えるのは第2脳神経の視神経。

この「第~脳神経」、看護師国家試験でよく出ます。

どの神経が何の情報を運ぶのか、

ちゃんと覚えてくださいね。

 

視神経に「見える」情報が届くためには、

いろいろな組織の協力が必要です。

ここでカメラ(デジタルではなく、アナログ)を

イメージしてみてください。

カメラには、何が必要ですか?

画像を写し取る(記録する)、フィルムが必要ですね。

画像のピントを合わせる、レンズが必要ですね。

画像の明るさを決める、絞りも必要です。

これらが、「見える」ために必要なもの。

ヒトの体ではフィルムにあたる「網膜」、

レンズにあたる「水晶体」、

絞りにあたる「虹彩」がそろっているのが、

眼球…「目」ですね

ヒトは水晶体の厚さを変えることで、

ピント調節をしています。

だから水晶体の厚み調節がうまくいかないと、

「遠くが見えない…」「近くがぼやける…」といった

近視・遠視になります。

水晶体が白く不透明になってしまうと、

見える画像がかすんで見えにくくなります。

こちらが白内障ですね。

 

虹彩の色は、「目の色」

人種だけでなく、個人差がかなりありますね。

「目の中に入る光の量を調節する」という意味からすれば、

濃い色(暗い色)の虹彩が一番役に立つことになります。

日本人の黒い瞳の色は、実はとても優秀なのですよ。

 

次回、残っている網膜について説明していきますね。

 

【今回の内容が関係するところ】(以下20220923更新)