5 脳神経系と内分泌系のおはなし(3)
神経細胞の外観、分かりましたね。
今回からは、実際の働きを見ていくことにしましょう。
…でも「働き」と一言でいうには、あまりに多種多様。
だから、大まかに分けましょう。
神経細胞の役目は「情報を伝えること」と
「情報を判断して命令すること」。
情報が伝わらなければ、判断なんてできません。
だから、最初は「情報伝達」に特化した
神経細胞たちのおはなしです。
情報伝達に特化した神経細胞たちの職場が、
「運動神経」と「感覚神経」です。
運動神経は、筋肉に「動け!」という情報を伝えるところ。
「動け!」という命令を出すのは脳や脊髄といった中枢です。
中枢を体の中心とイメージすると、
体の中心から遠くに向かう情報の動きです。
だから運動神経は「遠心性」ということもありますね。
感覚神経は情報を入手して、中枢に伝えるところです。
中枢に向かう…今度は体の中心に向かう情報の動きですね。
だから感覚神経は「求心性」ということもありますよ。
簡単に「情報」と言ってしまいましたが、
中枢に伝えられる情報にはいろいろなものがありますね。
色、温度、おいしさ、臭いにおい、騒がしいざわめき…。
その中で重要な情報が「五感」と呼ばれます。
視覚(見る)、聴覚(聞く)、味覚(味わう)、
嗅覚(嗅ぐ)、触覚(触る)です。
どれも大事な情報なので、
そこに対応した感覚神経と器官が必要です。
これからできるだけ簡単に
それらの感覚(神経と器官)について紹介していきますよ。
まずは視覚から。
私たちヒトは情報の大部分を視覚情報に頼っています。
視覚情報を伝えるのは第2脳神経の視神経。
この「第~脳神経」、看護師国家試験でよく出ます。
どの神経が何の情報を運ぶのか、
ちゃんと覚えてくださいね。
視神経に「見える」情報が届くためには、
いろいろな組織の協力が必要です。
ここでカメラ(デジタルではなく、アナログ)を
イメージしてみてください。
カメラには、何が必要ですか?
画像を写し取る(記録する)、フィルムが必要ですね。
画像のピントを合わせる、レンズが必要ですね。
画像の明るさを決める、絞りも必要です。
これらが、「見える」ために必要なもの。
ヒトの体ではフィルムにあたる「網膜」、
レンズにあたる「水晶体」、
絞りにあたる「虹彩」がそろっているのが、
眼球…「目」ですね。
ヒトは水晶体の厚さを変えることで、
ピント調節をしています。
だから水晶体の厚み調節がうまくいかないと、
「遠くが見えない…」「近くがぼやける…」といった
近視・遠視になります。
水晶体が白く不透明になってしまうと、
見える画像がかすんで見えにくくなります。
こちらが白内障ですね。
虹彩の色は、「目の色」。
人種だけでなく、個人差がかなりありますね。
「目の中に入る光の量を調節する」という意味からすれば、
濃い色(暗い色)の虹彩が一番役に立つことになります。
日本人の黒い瞳の色は、実はとても優秀なのですよ。
次回、残っている網膜について説明していきますね。
【今回の内容が関係するところ】(以下20220923更新)