5 脳神経系と内分泌系のおはなし(7)
五感の最後は「触覚」です。
頭に付いている2本のもの…ではなく、
「触る感覚」のことです。
触覚だけは頭部に限定されず、
全身で情報を受け取っています。
触覚と言っても
「触っている」感覚(狭義の触覚)だけではありません。
熱いや冷たいといった温度覚、押されている感じの圧力覚、
痛みの痛覚も「広義の触覚」に含まれます。
それぞれの感覚を伝える神経は、これまた役割分担。
一度に覚えようとすると頭が痛くなるので、
痛覚と温度覚の「自由神経終末」を覚えておきましょう。
皮膚や粘膜の構造を見ると3層に分かれていて、
自由神経終末はその表皮と真皮の間あたりにいます。
火傷(やけど)は痛いものですが、
重い(重度の)やけどは痛くありません。
その理由は、痛みを感じる自由神経終末まで火傷をして
痛み情報を受け取り・伝えることが
できなくなってしまったせいです。
痛みについては2種類の伝達ルートがあります。
ちくっとした痛みは、A-δ(エー・デルタ)線維、
ずきんずきんとした痛みは、C線維の伝達担当です。
2種類ある理由は、伝える速さが違うから。
A-δ線維の伝達スピードは15m/sで、
C線維の伝達スピードは1m/s。
今傷ついたばかりの痛みは特急で、
そうではない痛みは鈍行で。
こんな風にイメージすれば、
痛みの伝達速度の違いを理解しやすいですね。
…でも、できれば痛いことになる前に何とかしたいもの。
そこに役立つのが「反射」です。
光を跳ね返す反射ではありません。
熱いものに触ってしまったときに手を引っ込める「反射」です。
そして反射について説明するためには、
中枢についてのおはなしを始める必要があります。
次回から、本格的に中枢についてのおはなしに入りますが…
今回、反射の基本概念についてまとめてしまいますね。
まず、反射というのは
主に脊髄が情報を判断・命令することです。
脊髄は中枢に含まれますが、
普段は脳への(脳からの)情報伝達に専念しています。
反射で脊髄が判断・命令をするメリットは
「スピード」「脳の負荷減少」です。
いくら電気で情報が伝わるとはいえ、
足先の情報を脳にまで届けるには時間がかかります。
可能なら、
途中の脊髄で判断してもらった方が早く対処できますね。
そして特定の情報に対して行動が決まっている場合すらも、
脳が判断していたのでは脳が過労状態に!
することが決まっているなら、
脊髄に任せてしまった方がよさそうです。
だから、反射の「判断・命令」場所は主に脊髄になります。
そして反射は「受容器→中枢→効果器」という関係にあります。
中枢の部分に脊髄が入るのは、今説明しましたね。
残りの部分は、次回具体例で確認しましょう。
【今回の内容が関係するところ】(以下20220923更新)