5 脳神経系と内分泌系のおはなし(9)
自律神経のおはなしを、できるだけ簡単に。
自ら律してくれる…
意識して「こうして!」と命令せずとも、
身体を動かしてくれる神経のことです。
自律できる理由は、
前回おはなしした情報への決め打ち行動「反射」ですよ。
自律神経は大きく2つに分けられます。
興奮モード担当の交感神経系と、
リラックスモード担当の副交感神経系です。
日中は交感神経系、夜間は副交感神経系が主な担当ですね。
ここで注意を2つ。
1つは、交感神経系と副交感神経系は
常にどちらも働いていること。
オン・オフのようにスイッチで切り替わる関係ではありません。
だから「交感神経系優位」
「副交感神経系優位」という言い方をします。
もう1つは、交感神経系優位のとき
「全身全てがフル活動モード」ではないということ。
心臓はじめ多くの器官は
交感神経系優位のときにフルパワーモードですが、
消化器系は
副交感神経系優位のときにフルパワーモードです。
本来、交感神経系優位状態は
「闘争か逃走か」と表現されることが多いです。
動物が縄張り争い…
さて、戦うか、逃げるか…というモードです。
こんなときに悠長に食べたものを
消化吸収なんてしていられません。
消化吸収は、安全なところで、
運動の必要がないときにゆっくりと…。
これは副交感神経系優位状態ですよね。
だからたとえ短時間でも、
「食休み」をするのは大事なことですよ。
交感神経系優位状態は興奮モードといいました。
日常的行動に置き換えると
「心臓ドキドキ…」「手に汗握る…」。
これ、生活していると結構よくある状況です。
少なくとも現代人は各種のストレスにより
交感神経系優位状態が長すぎて、
うまく副交感神経系優位状態に入れなくなりがちです。
あまりにひどいと、
「自律神経失調症(自律神経失調状態)」になってしまいます。
だから、少しだけでもモードチェンジのお手伝いをしましょう。
リラックスモードになりたいときには、深呼吸です。
「…深呼吸で、どうしてリラックスモードなの?」
そのヒントは、お風呂(シャワー)に入ったときにあります。
お風呂で湯船につかると
「…ふぅ…」とか「はあぁ~」といった声と共に、
呼吸が深くなっています。
これ、リラックスモードのときに体が自然にとる行動です。
だから深呼吸をすると、
体が「ああ、こんな深い呼吸をしているということは
リラックスモードなのだろう」と
いい感じに誤解してくれます。
誤解してくれれば、副交感神経系優位状態になっていきます。
無事、
リラックスモード(副交感神経系優位状態)に誘導できました。
これなら眠りが深く、疲れがよくとれるようになります。
消化吸収も進みますから…身体を動かしても疲れにくくなります。
消化吸収が栄養を体に取り入れて、細胞に届けて、
細胞がATPを作り出すまでについては、
今まで勉強してきましたからね。
次回は自律神経の通る場所と伝達物質について勉強しましょう。
【今回の内容が関係するところ】(以下20220923更新)