6 筋骨格系のおはなし(11)
骨盤のおはなしですね。
骨盤(いわゆる腰骨)は
上半身と下半身をつなぐジョイント部分であり、
血球のふるさとでもありますよ。
まず、上半身を支えるのは背骨。
背骨の下の方は骨盤と一部合体してします。
仙骨のあたりです。
もっと下…の尾骨は、ヒトでは退化してしまいました。
動物のしっぽの跡ですね。
そして下半身を支えるのは太ももの骨(大腿骨)。
大腿骨の先端部分(大腿骨骨頭)がはまり込む部分が、
骨盤にあります。
ここのはまり込みは「球関節」。
個人差はありますが、
とても可動域の広い…外れる危険のある関節です。
外れるのも怖いのですが、
先端部分にかかる負担で折れてしまうことも怖いですね。
この大腿骨頭部骨折は、
寝たきりになりやすいことでも有名です。
そもそも、普通の骨量ならそうそう折れるところではないはず。
事故以外で折れてしまったということは、
すでに骨(量)が減っている状態です。
骨が再度強度を取り戻すまで(骨代謝の骨形成)の安静期間中、
何もしないでいると…今度は骨も筋肉も負荷がかかりません。
これ、骨も筋肉も減ってしまいますね。
放っておくと…待っているのは、
筋量低下で日常動作さえできなくなって
しまうサルコペニアですよ。
骨盤は上から見たときに性差がはっきり出るところでもあります。
男性では丸みのある三角形、
女性ではほぼ円形の空間が見えるはずです。
これ、女性では赤ちゃんの通る産道になることろです。
さらに、女性では出産時には
左右の骨盤を前でつなぐ靱帯(恥骨結合)も緩みます。
少しでも赤ちゃんが通りやすくなるように広げるためです。
だから男性の骨盤は小さく、女性の骨盤は大きいのですね。
普段「腰骨」と呼んでいるところは、「腸骨」といいます。
この左右の腸骨の上の端は、出っ張っていますね。
そこが出っ張っていないと「腰で履く」ことができません。
その出っ張りこそが、
成人後も骨髄で血球を作る数少ない
赤色骨髄の残る部分(腸骨骨稜)です。
…出っ張っている骨稜は、褥瘡の注意ポイントでもあります。
褥瘡というのは、圧力による血行不良で
細胞が酸素・栄養不足になってやがて死んでしまうもの。
同じ方を向いて寝ていると、
下になった方に体各所の重みがかかってきます。
普通の人はそこでなんとなく寝返りを打つのですが…
自力で寝返りを打てなかったり、
重みを感じ取る神経系が働かなかったりすると、
そのまま重みがかかり続けます。
血管が重みでつぶれると…
細胞のところまで血液が届きませんね。
血液が届かないと、細胞がやがて死んでしまいます。
だから、寝たきりの人には1~2時間おきに向きを変えてあげる
体位交換(や圧力がかからないようにする除圧)が
必要になってくるのですよ。
【今回の内容が関係するところ】(以下20221011更新)