6 筋骨格系のおはなし(12)
骨の追加のおはなし。
足周りについて見ていきましょう。
「脚」の部分はシンプルです。
太ももの部分は大腿骨。
脛(すね)の部分は親指側の脛骨(けいこつ)と、
小指側の腓骨(ひこつ)。
あとは膝の「おさら」にあたる膝蓋骨(しつがいこつ)です。
太ももの前は膝蓋腱反射でおなじみの大腿四頭筋、
太ももの後ろは大腿二頭筋です。
足首から先の「足」の部分は、意外なほど骨の密集地帯。
人体の骨は206個ありますが、
そのうちの56個は、「足」の骨です。
どうしてこんなに細かい骨が必要なのか。
それは、頭の重みを支える必要があるからです。
ヒトは二足歩行する動物。
しかも立った姿勢(立位)では、
その全体重が2本の足にかかります。
多くの動物では4本で支えればよかったのに、
2本で支える以上「重さに強い」形が必要です。
それが足にある「アーチ」です。
アーチを作るためには、細かい部品がいくつか必要です。
それをうまく組み合わせることで、
重量に強い形ができる…と
昔から橋やトンネルに使われてきました。
背骨(首から腰まで:頸椎から腰椎)までが一直線ではなく
前後にカーブがあるのもそのためです。
ヒトの足には3つのアーチがあります。
土踏まずの部分、足の指の親指から小指までの部分、
個々の足の指。
これらのアーチがヒトの重量を支えてくれているのです。
…と、いうことは。
これらのアーチが崩れてしまうと、
うまく体重を支えられなくなります。
ゆかたを着たときの草履・下駄(ぞうり・げた)や、
ビーチサンダルは足に接する部分が平らですね。
これでは、足のアーチ構造がつぶれていってしまいます。
そうすると、普段使わない筋肉を使って
体重を支えようとしますから…。
「なんだか、とっても足が疲れた…」ということが
起こりやすくなるのです。
その足の疲れは、
慣れない服を着た
(もしくは慣れない砂浜を歩いた)せいだけではないのです。
同様に靴の形が悪いと、足が本来の形を保てなくなります。
アーチがつぶれて疲れやすくなることも十分問題ですが、
変形してしまう「外反母趾」はもっと問題です。
女性に多い先端がとがった靴は、
足の親指(母趾:ぼし)の根本を
外側に出っ張らせてしまいます。
当然、痛くて歩けたものではありません。
おしゃれだけではなく、
足の健康も考えた靴選びをしてくださいね。
「どきっ!」としたあなた。
このおはなしを次回靴を買うときに思い出すだけではなく、
足の指を意図的に広げて、
指の筋肉に適度な刺激を与えることもお忘れなく!
アーチを保つためには、骨だけでなく
骨の周囲の筋肉だって必要ですからね!
【今回の内容が関係するところ】(以下20221011更新)