7 生殖器系のおはなし(4)
振り分けミスが怖い理由は、
生殖細胞は周りの細胞がフォローしてくれないから。
そんな生殖細胞を、少し細かく確認しましょう。
男性の生殖細胞が精子。
DNAを入れておく「頭部」、ミトコンドリアいっぱいの「体部(中片)」、
動かす長い毛のような「尾部」…以上です。
頭部に入っているのは、うまく半分にしたDNA(遺伝情報)。
体部で作ったエネルギーで、尾部を動かして進みます。
…他には、何もありません。
最小限の構成で、最小細胞。
それが、精子ですね。
女性の生殖細胞は卵子。
真ん中が核、核を取り巻く卵黄、一番外側にあるのが透明帯です。
核はDNAの入っているところ。
卵黄は栄養をためておくところ。
「卵(鶏卵)」の「黄身」ですね。
透明帯は受精のあとにバリアーになるところです。
3区分なのは精子と一緒。
でも、サイズがけた違いです。
精子は約60㎛。顕微鏡必須サイズです。
卵子は約100㎛(0.1㎜)。
こちらは、点として肉眼で見えるレベルの人体最大細胞です。
この違いは「何が求められているか」から生まれます。
精子は、運動しないと受精の目的を果たせません。
卵子は、動く必要がありません。
精子がやってきて、受精してからが本番。
受精後の細胞分裂のエネルギーは、貯めておいた卵黄です。
ここにちゃんとエネルギーをためておかないと、
子宮まで転がって行ったときにちょうど内膜に入り込み、
内膜細胞内に栄養を求める「絨毛」を出すことができません。
動くためか、貯めるためか。
これが男女の生殖細胞の違いになるのです。
生殖細胞について一通りおはなしできたので。
生殖器官へと進みましょう。
最終的に、生殖器系は男女で大きく異なります。
でも、その始まりは共通しています。
違いができるのは「SRY遺伝子」のせいです。
胎児は、発生の途中まで男性も女性も
「尿生殖洞」「ウォルフ管」「ミュラー管」を持っています。
あるとき、SRY遺伝子が働くと
ウォルフ管が成長し、ミュラー管は退化していきます。
この後、男性生殖器に成長していきます。
生殖器の外形が完成したら「一次性徴」です。
生殖可能になるのは10歳前後の「二次性徴」ですね。
もしSRY遺伝子がないと、
ミュラー管は成長しますが、ウォルフ管は途中で止まってしまいます。
このまま進むと、女性生殖器の完成です。
次回は、男性生殖器系のおはなしに入りましょう。
精巣、精巣上体、輸精管といった狭義の生殖器系だけでなく、
前立腺、精嚢、陰茎まで含める広義の生殖器系でいきますからね。