7 生殖器系のおはなし(5)

男性生殖器系のおはなし。

まずは精子を作り、育て、運ぶところから。

 

精子を作るのが精巣

精子を成熟させるのは精巣上体

成熟した精子が通る通路が精管(輸精管)です。

これらは陰嚢という袋に入って、左右に1つずつあります。

陰嚢は、体の中(腹腔)にはありませんね。

「腹腔外」臓器になります。

この理由は「温度が高いとうまく精子を作れないから」

そしてその位置に落ち着くために、長い旅をすることになります。

前回「男性も女性も、発生途中までは同じ構造」のおはなしをしました。

SRY遺伝子のせいで男性生殖器系への特化が始まったとき、

精巣たちのもとは腹腔内にいます。

でもある程度男性生殖器系として成長したら、

涼しいところに行かないと精子を作ることができません。

そこで「腹腔から外に出る」旅に出発。

狭い鼠径部を潜り抜けて、涼しい自由の地へと脱出です。

陰嚢表面はしわがたくさん寄っています。

しわ…凸凹ですね。

小腸上皮や脳でおなじみ、表面積が広いサインです。

ここでは広い表面積で、熱を周囲に逃がすことに役立っています。

精巣たちは体の外に出て、

さらに念入りに熱を逃がして、精子形成・成熟に適した温度を保っているのです。

…この旅、必ずしも安全なものではありません。

鼠径部から外に出られないこともあります。

これは停留精巣という状態。

このままでは精子を作れず、子孫を残せません。

鼠径部から外に出るときにねじれてしまうこともあります。

こちらは精巣捻転

外に出てからもねじれてしまうことがあるため、

痛みが出たら一刻も早く病院へ!

早く治してあげないと、精巣に血液が届かずに細胞が死んでしまいます。

 

精子を無事に作って、成熟出来たら、

受精のために女性生殖器へ届ける必要がありますね。

ヒトは原則体内受精。

魚(例えばサケ)のように体の外で受精する体外受精は採用していません。

だから前立腺、精嚢、陰茎が必要なのです。

前立腺と精嚢は液体を分泌するところ。

これらと精子が混ざったものが「精液」となります。

前立腺と精嚢から分泌されるのは、

精子が運動するための糖と、膣内の酸を中和するためのアルカリ。

女性生殖器の膣内部は、

外部から侵入した細菌の繁殖を抑えるために酸性になっています。

このままでは精子も死んでしまうので…中和です。

酸をアルカリで中和する話は、

「4 消化器系」の十二指腸でもしましたよね。

 

精液は陰茎の中を通って排出されます。

陰茎は2種類の海綿体(海綿…スポンジのことです)からできていて、

そこにとどまる血液量で硬さが変化します。

ここで注目!

精液が出るところは、尿が出るところと一緒です。

どういうことか。

性感染症に感染したとき、

排尿時の異常で発覚することが多いということです。

性感染症(STD)については、次回の女性生殖器系のあとにおはなししますね。

 

そして尿道についてもう1つ。

男性と女性の尿道は太さも長さも違います。

女性の尿道は膀胱から真下に出るだけなので、尿道は太く短いもの。

男性では陰茎の中を通るため、尿道は細く長くなっています。

この違いが

男性では途中で狭くなって尿を出しにくくなる尿道狭窄症が多く、

女性では尿道口からの逆行性感染が多くなる理由ですね。