1 細胞とアレルギーのおはなし(1)
生化学とは、
生物(私たちヒトも、生物)の体の中で起こっている化学反応のこと。
だから、生化学は生物の基本単位「細胞」から始まります。
…化学反応とありますが、心配はご無用。
化学式が出てこないのが、この講義の特徴ですからね。
細胞は生物の基本単位。
最低限、これがあれば生物だといえるラインです。
だから、細胞1個で生きていく生物もいます。
ゾウリムシやアメーバが代表例。
これらは「単細胞生物」と呼ばれます。
かたや、たくさんの細胞で集まって生きていく生物もいます。
これが私たちヒトが属する「多細胞生物」ですね。
多細胞生物を選んだということは、なにかメリットがあるはずです。
たくさん理由はあるはずですが…
少なくとも、多細胞生物なら体を大きくできます。
単細胞生物では体(細胞)を大きくできません。
大きくしたら自重でつぶれて動けません。
自重を支えようとしたら、今度は動きが不自由…うまくいきません。
多細胞生物だと、細胞ごとに役割分担できます。
身体を支え、動かすことを分担した細胞達が集まったおかげで、
自重を支えつつ動くことができます。
表面を覆うことを分担した細胞たちが集まったおかげで、
乾燥を防ぎ、栄養吸収力を高めることができます。
指揮・命令を分担した細胞達が集まったおかげで、
他の細胞たちは自分で判断することなく自分の分担に専念できるのです。
このように、多細胞生物だからこそできた細胞の役割分担。
これが組織や器官、器官系の話につながっていくのです。
役割を分担した細胞は、その役目に適した形をしているのはそのためです。
その一例として、表面を覆う細胞は
傷ついてもすぐ代わりが出てこられるようにしてあります。
「~重層上皮」は各種刺激で傷みやすい!のサインですね。
生理学や解剖学でお世話になる組織・器官・器官系のおはなしは、
多細胞生物だからこそ!の役割分担の証拠です。
身体を覆う上皮組織、身体を支える筋組織と結合組織、
そして指揮命令担当の神経組織。
組織が集まって特定の働き・機能を果たすようになったものが器官。
器官が集まって一定の役割を果たすのが器官系です。
例えば心臓。
心臓自体は血液を全身に送り出すポンプとしての役割を果たす「器官」です。
心臓は筋肉(筋組織)が主役ですが、
他にも表面を覆う膜や神経などが必要ですね。
「組織(筋・上皮・神経…)」が集まって器官ができています。
心臓だけでは血液を送り出そうにも血液の通る「道」がありませんから、
「道」になる血管(血管系)が必要になります。
だから「循環器系」には心臓だけではなく血管(血管系)も必要なのです。
以上、多細胞生物だからこその役割分担が
組織・器官・器官系につながることの説明でした。
次回から、細胞の中のおはなしに入りますよ。
【今回の内容が関係するところ】(以下20220201更新)