1 細胞とアレルギーのおはなし(4)
ここからはアレルギー(過敏症)のおはなしです。
過敏症、つまり「過度に」「敏感」なのですよね。
何が過敏なのかというと、
身体を守る免疫系が過度に働きすぎているのです。
免疫系の基本は「抗原抗体反応」。
難しくありませんよ。
体にとって異物(侵入者)が「抗原」。
体を守るガードマンが「抗体」。
異物とガードマンの反応が、抗原抗体反応です。
早速、1つの例を見てみましょう。
花粉は私たちにとって異物ですから、抗原です。
それが体の中に入ってきたとき、
ガードマン(ここではIg-E)が侵入者の顔を把握します。
そして2回目以降の花粉(抗原)侵入があったとき、
ガードマン(Ig-E)は肥満細胞(という細胞)に救援要請を出します。
「侵入者!放水援軍を要請する!」
これを受け取った肥満細胞が、
中にためておいた分泌顆粒からヒスタミンを放出します。
ヒスタミンは…涙や鼻水を出させる「放水」役でしたね。
ヒスタミンのせいで、涙や鼻水が出て
体に入り込んだ花粉(抗原)は体の外に流されてしまいます。
無事、体の防衛成功です。
これが花粉症。
Ⅰ型アレルギー(Ⅰ型過敏症)とも言います。
このようなⅠ型過敏症の特徴は「即時(すぐ)」であること。
たしかに、花粉症は花粉に触れると間髪おかずに発症しますね。
抗原侵入から約30分ほどで出るこの反応は「即時型」と呼ばれます。
「Ⅰ型」がある以上、他の型もありますよ。
よく、セットで出てくるのがⅣ型。
こちらは抗原侵入から24~48時間(さらに72時間まで)かかるので、
「遅効型・遅延型」と呼ばれます。
その理由はガードマンがTリンパ球だから。
Tリンパ球はいろいろな仕事を掛け持ちしているので、
現場到着が遅れる!と思ってください。
代表例はツベルクリン反応ですね。
食物アレルギーにはすぐ出て怖いⅠ型アレルギーと、
なんだかじわじわ調子が悪くなるⅣ型アレルギーの両方があります。
残りはⅡ型とⅢ型。
Ⅱ型はマクロファージという白血球の仲間が登場。
ガードマンは侵入者と一緒にマクロファージに食べられてしまいます。
Ⅲ型は好中球という白血球の仲間が出てきます。
こちらもガードマンは侵入者と一緒に食べられてしまうのですが…。
場所が「血管内壁」という特徴があります。
Ⅱ型とⅢ型、似ているところが多いのですが。
マクロファージときたら、Ⅱ型。
好中球か「血管内壁」ときたら、Ⅲ型です。
以上、アレルギーのおはなしでした。
前回までの細胞・細胞小器官のはなしとつなげて理解できましたか?
【今回の内容が関係するところ】(以下20220211更新)