11 ホルモンのおはなし(3)
ホルモンの脂溶性・水溶性は
細胞膜を抜けられるか…のおはなしのつづき。
前回の最後に細胞膜の組成は復習しましたね。
では、脂溶性ホルモンの動きから見てみましょう。
脂溶性ホルモンは文字の通り「脂肪に溶ける」ホルモン。
脂肪(脂質)になじむ、という意味です。
だから細胞膜の主成分脂質(複合脂質)となじんで、
つるりと細胞内に入れます。
脂溶性ホルモンを受け止めるところ(受容体)は、
細胞内(核の中)で待っていればいいですね。
では、水溶性ホルモンはどうか。
水溶性ホルモンは、
細胞膜を抜けることができません。
でも各種調節のための情報は核内まで運ばないといけません。
だから、細胞膜表面にある受容体にお願いする必要があります。
「中に入れないの!細胞の中にこの情報を運んで!」
このお願いを聞いた受容体は、
第2メッセンジャーというものを細胞内に出します。
第2メッセンジャーが、
ホルモンの代わりに核の中に情報を届けに行ってくれるのです。
まとめましょう。
脂溶性ホルモンは核の中に入れるため、受容体は核内にある。
水溶性ホルモンは細胞膜を抜けることができないため、
受容体は細胞膜にある。
細胞内に情報を伝えるためには、
受容体から出る第2メッセンジャーが必要です。
第2メッセンジャーにはいろいろありますが、
そこは今慌てて覚える必要はありません。
調節のためにホルモンが伝えたい情報は、
「核内にしまってあるDNA上の情報を
どれだけ発現させるか」です。
要するに
「設計図上のタンパク質の組み立てをどうするか」です。
「10 核酸・遺伝子のおなはし」に引き続き
復習しておきましょう。
DNAに書いてあるのは私たちの設計図であり、
タンパク質の設計図。
設計図から「どのタンパク質を」
「何回作るか」を調節しているのが、
今勉強しているホルモン
(や今までに勉強してきたビタミン)です。
タンパク質は骨や筋肉の材料だけではなく、
酵素や神経伝達物質をはじめ、
いろいろな働きを有するもののもとになっていましたね。
…今までの勉強、どんどんつながってきました。
こうして理解を深めていけば、
生化学は単なる暗記科目ではない、
つながりのあるものと分かってきたはずです。
以上、復習もしっかり出来たところでホルモンの概論は終了。
次回からは各論に入ります。
各論は、どうしてもホルモンの名前がたくさん出てきます。
頭の上の方から順番に説明していきますが、
「今どこをやっているのか」
「どこの器官に関係しているのか」
「そこがおかしくなるとどうなるのか」を
意識しながら読んでくださいね。
【今回の内容が関係するところ】(以下20220607更新)