11 ホルモンのおはなし(5)
下垂体のおはなしに入りましょう。
「下垂体」と言いましたが、ここを3つに分けますよ。
前葉、中葉、後葉です。
そのうち、ヒトでは前葉と後葉が大事です。
変態(幼虫からさなぎ、さなぎから蝶へ…)する昆虫にとっては
中葉も大事なのですが。
ヒトは、変態しませんからね。
そんなわけで、下垂体前葉から。
ここ、6つもホルモンが出ます。
働きは名前の通りで素直ですが、
いかんせん数に圧倒されがちなところです。
最初は名前になれるところから始ましょう。
名前と働きを理解するときに、
過剰症や欠乏症を意識して。
「どこに働くのか」と「異常だとどうなるか」は
表裏一体ですからね。
成長ホルモン(GH)は、
骨や筋肉の成長に関係するホルモン。
日内変動が大きく、
寝ている間にどかんと分泌されます。
まさに「寝る子は育つ」ホルモンです。
もちろん成長期にたくさん分泌されますよ。
欠乏症は小人症。
骨や筋肉の発育が不十分なのに成長が止まってしまいます。
過剰症は巨人症や末端肥大症。
250㎝近くまで背が伸びてしまうこともありますが、
全身にかかる負担が大きいらしく、
若くして亡くなってしまうことが多いですね。
甲状腺刺激ホルモン(TSH)は、
のどにある甲状腺をコントロールするホルモン。
甲状腺は代謝と関係が深いので、
「代謝の元締め」ホルモンですね。
あと、視床下部との関係から
負のフィードバックの例にもよく使われます。
欠乏症は甲状腺ホルモン全体の欠乏症、
過剰症は甲状腺ホルモン全体の過剰症になりますよ。
副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)は
腎臓の上にある副腎をコントロールするホルモン。
副腎もホルモンの一大産生地点。
第二の山場ともいえるところです。
そこをコントロールする副腎皮質刺激ホルモンは、
とても重要な役割を果たしていることが分かりますね。
欠乏症は副腎から出るホルモン全般の欠乏症、
過剰症は副腎から出るホルモン全般の
過剰症につながりますよ。
卵胞刺激ホルモン(FSH)は、
卵胞を刺激するホルモンですが…。
まず「それどこ?」ですね。
卵胞は卵巣内にあります。
卵胞を刺激して、
成長・成熟させる働きがあります。
じゃあ男性では用なし…ということはありません。
男性でも精子形成促進に必要ですよ。
黄体形成ホルモン(LH)は、
黄体を形成させるホルモンですが…。
これまた「それどこ?」対象ですね。
黄体は卵子を放出した後できるホルモン産生場所。
一通りホルモンを産生すると
しぼんで白体になってしまします。
黄体については、
性ホルモンのところでまた説明しますからね。
男性では精巣から出るホルモンの
合成・分泌を促進しますから、
これまた「男性では用なし」と誤解しないでくださいね。
そしてプロラクチン(PL)は、
乳汁分泌促進作用があります。
男性では、前立腺発育促進作用です。
以上が下垂体前葉から出るホルモンです。
最初は名前に慣れて、次に働く場所(作用内容)です。
自分で人体地図に矢印を書き入れながら、
下垂体前葉ホルモンの働きの広さを実感してください。
【今回の内容が関係するところ】(以下20220607更新)