6 体温のおはなし(3)上部消化器系(+肝胆膵)(25)

(ⅰ)HAV・HEV

A型肝炎ウイルス(HAV)、

E型肝炎ウイルス(HEV)はどちらもRNAウイルス。

慢性化せず、がん化しないのが基本です。

旅行(や輸入品等)、生水、食品、獣類で感染し、

2週間から6週間の潜伏期を経て発症します。

発熱や軽い黄疸が出ますが…

症状の出ない不顕性もそれなりにあります。

 

A型肝炎ウイルスの成人発症では、

38℃以上の熱と頭痛、食欲不振、嘔吐が出ますよ。

 

A型肝炎ウイルスにはワクチンがありますので、

海外旅行前には接種しておきましょうね。

原則として、安静にしていれば治ります。

ただし便中にウイルスが出ますので、

旅行に行っていなくとも

家族は感染している可能性がありますね。

一応、E型肝炎ウイルスは

数%レベルで劇症化する可能性があります。

そうなってしまったら、

血漿交換・人工肝補助…最悪肝移植の特殊治療が必要です。

 

(ⅱ) HBV・HCV・HDV

血液・体液感染のB型肝炎ウイルス(HBV)、

C型肝炎ウイルス(HCV)、D型肝炎ウイルス(HDV)。

いずれも慢性化し、

がんにもつながるこわいウイルスたちです。

ここでワクチンがあるのはHBVだけ。

でもHDVはHBVと一緒でないと、なぜか増殖しません。

だからHBV予防はHDV予防にもつながります。

HBVとHDVが重なって発症すると、

黄疸や肝障害が重症化しますよ。

 

HBVは何かとよく出てくるウイルス。

ヒト肝炎ウイルスの中で唯一のDNAウイルスです。

急性なら劇症化し、

慢性なら肝硬変、肝がんにも進みますし、

途中の急性増悪もありえます。

医療職で怖い「針刺し事故」の血液感染対象です。

事故は起こさないのが一番ですが、

もしものときのためにもしっかりワクチン接種を!

 

発熱、食欲不振、倦怠感、悪心、

嘔吐や右季肋部痛が始まり。

小児だと、赤色発疹が出ることもあります。

進行すると黄疸と黒褐色尿が出てきます。

黒褐色尿は肝臓が悪いときに出る尿の色ですね。

こうなったら安静にしつつ、

肝臓の炎症を抑える薬等を使いながら、

脂質制限を含む栄養療法が必要です。

覚えておいてほしいのは、

症状の出ない不顕性感染もありうること。

「別の理由でステロイド等の免疫抑制を始めた途端に急変!

致死的肝炎発生!」が起こりうることを忘れてはいけません。

そのために、事前にHBVマーカーを見ておく必要がありますね。

HBVマーカー(指標)になるのは、抗原と抗体の存在です。

慢性化してもある程度までは自覚症状がありません。

肝硬変になってしまったら、

1回量を減らし(分割食)、塩分制限が必要になりますが…

それまでは特別の食事制限は不要。

ただし、ある日突然急性増悪、劇症化の危険はありますからね。