11 ホルモンのおはなし(6)
下垂体前葉が終わったので、後葉のおはなしです。
中葉は…変態しないヒトではスルーしますからね。
下垂体後葉から出るホルモンは2つ。
オキシトシンとバソプレッシンです。
オキシトシンは乳汁射出ホルモン。
同時に子宮復古ホルモンでもあります。
母乳を出させて、子宮を早く産前の大きさに戻す。
「母乳で育てると産後の肥立ちが早い」に
直接関係するホルモンです。
他にも神経伝達物質としての
作用があることが分かっています。
男性の性に関する働きは
残念ながらまだよくわかっていませんね。
バソプレッシンは尿量に直接関係してくるホルモンです。
「抗利尿ホルモン」とも呼ばれます。
「利尿」とは、尿(量)を出させること。
それに「抗(あらがう)」のですから、
尿量を減らすホルモンですね。
腎臓のところでおはなししますが、
尿量を減らすということは、
尿細管での再吸収が増えるということです。
体から出ていく水分が減る、ということでもありますね。
バソプレッシンの欠乏症は「尿崩症」。
1日1~2ℓぐらいだった尿が、
ひどくなると10ℓを超えてしまいます。
点滴をしていても干からびてしまいそうな数字ですね。
ここまでが頭部から出るホルモン。
続いて首(頸部)から出るホルモンに入ります。
首のホルモン産生場所は
「甲状腺」と「副甲状腺」です。
ちょうど蝶ネクタイをつける位置で、
蝶ネクタイ型をしているのが甲状腺。
その蝶ネクタイの水玉模様のように
甲状腺にのっているのが副甲状腺です。
甲状腺からはヨウ素を原料としたホルモンが出ます。
効果が強いT3(トリヨードチロニン)と、
長持ちのT4(チロキシン)です。
どちらも全身の代謝をコントロールするホルモン。
具体的には酸素消費や熱産生を促進して、
基礎代謝の維持に働きます。
材料はミネラルのところでおはなしした
ヨウ素(ヨード)ですね。
欠乏症はその名のごとく「甲状腺機能低下症」。
代謝の低下が原因で、倦怠感・動作緩慢が治りません。
過剰症はこれまたその名のごとく「甲状腺機能亢進症」。
甲状腺が腫れるだけはなく、
眼球が突き出し、頻脈で疲れてしまいます。
代謝は、高すぎても低すぎても問題ですね。
あと、忘れてはいけないのがカルシトニン。
ヨウ素からできていない甲状腺ホルモンです。
カルシトニンは骨に働いて、
カルシウムが血液に溶けだしていくのを防いでいます。
骨の代謝を考えたら、決して軽視できないホルモンですよ。
副甲状腺ホルモンについては
…結構おはなしすることがあります。
次回にすることにしましょう。
【今回の内容が関係するところ】(以下20220607更新)