2 「健康」とは:(1)「生きる」ために(2)

「死」の原因を、年代別に確認していきましょう。

原因は上位3つだけに限定しますからね。

 

まず、0歳児(出生から乳児)までの死因の1位は「先天奇形・染色体異常」。

染色体異常は、生殖細胞を作る減数分裂のミス。

代表は染色体が2本入るべきところに

3本入ってしまった「トリソミー」ですね。

先天奇形は染色体異常に由来するものも、

発生過程中の感染や薬等に由来するものもあります。

つまり、染色体異常や先天奇形は「生」に対して影響が大きいということですね。

 

だから、染色体の理解(何の情報が入っているのか、本体は何なのか)や、

細胞分裂(特に減数分裂:体細胞分裂との比較)について

生物や生化学の理解が必要になってきます。

発生は生物や解剖生理学の総集編にあたるおはなしですね。

感染(特にTORCH:胎児に先天奇形を生じさせる感染症)は

微生物学で(TORCHについては母性看護学でも)勉強しますし、

薬の影響は薬理学分野のほぼ全体にわたります。

0歳児の死因1位について理解するために、

多くの分野の勉強が必要なこと、分かってくれましたか?

 

なお、死因トップ3に先天奇形が入ってくるのは9歳まで。

「死に直結するレベルの重大な奇形の影響は、主にそこまでに出る」と

思っておいてくださいね。

 

続いて0歳児の死因2位は周産期呼吸障害。

様々な原因がありますが…

分娩遅延による児の長期酸素欠乏がその一因ですね。

 

正常な分娩でも、

狭い産道を抜ける必要のある経腟分娩は児に負担がかかります。

そこに「子宮の収縮力弱化」や「胎盤からの血流不足」が重なってしまうと、

児は不要に長い時間酸素欠乏状態にさらされてしまいます。

酸素不足では、細胞が十分なATPを作れなくなってしまいますね。

中枢で酸素不足(細胞がうまく働けない!)の影響が出てしまうと、

呼吸命令がうまく出せない「呼吸障害」のもとです。

 

分娩時の子宮収縮担当は、オキシトシンとプロスタグランジン。

下垂体後葉ホルモンと、

アラキドン酸カスケードでできる炎症物質ですね。

ということは…

内分泌系疾患について病態学で勉強する必要がありますね。

さらに(内分泌系に働く薬に加えて)炎症に関係する薬についても、

薬理学で勉強する必要がある、ということです。

 

実は、嗜好品の「タバコ(煙草)」は

「胎盤からの血流不良」に深い関係があります。

母体の末梢循環を害する

(血管を収縮させて、血液がめぐりにくくなる)働きがあるのです。

当然、胎児に酸素や各種栄養分を届ける胎盤の血流も害されてしまい…。

出産時にかかる負担に耐え切れず、

児に重い酸素欠乏が生じる危険性が上がってしまうのです。

 

0歳児の死因4位

「乳幼児突然死症候群(SIDS:Sudden Infant Death Syndrome)」にも

タバコは関係してきます。

 

乳幼児突然死症候群については、分かっていないことがたくさんあります。

その中でも調査・研究の途中でうつぶせ寝での報告がたくさんあったため、

「うつぶせ寝は避けてください」等の注意がされています。

厚生労働省の注意指導パンフレットではその中でも特に

「タバコは危険因子!」と明言されていますよ。

 

これ、妊娠中に注意するだけでは不十分です。

出産後も、周囲の人の吸うタバコも危険因子に入ります。

 

どうしてタバコがこんなに重大な影響を及ぼしてしまうのか。

解剖生理学(中枢:神経伝達物質の受容体)の勉強が進めば、

その理由の一部が分かるはずです。