11 ホルモンのおはなし(9)
前回膵臓のところで
「後腹膜臓器」という言葉が出てきました。
まずはそこの説明から。
体の中の空間(体腔)を覆う
「腹膜」の外にある臓器のことを、後腹膜臓器と呼びます。
臓器は体の中の空間(体腔)に
そのまま入れておいたのでは、
ぶつかったりずれたりして都合が悪いもの。
買い物かごの中に、
ちょっとした傷から傷んでしまう果物を
そのまま投げ入れませんよね。
箱ごと入れる、
もしくは紙や袋で包んでから入れるはずです。
だから私たちの臓器の多くも、
腹膜というパッキング材にくるんで体腔に入れてあります。
でも体の後ろのほう(背骨付近)にある臓器は、
腹膜に包まれてはいません。
最初から箱やかごの内張り(うちばり)をしている膜(後腹膜)に
埋め込まれてしまっているからです。
この「膜に埋め込まれている」臓器が、後腹膜臓器です。
具体的には前回おはなしした十二指腸と膵臓、
そして今回出てくる副腎と腎臓がこれにあたります。
後腹膜臓器の様子を知りたいときに
前(腹側)から調べたのでは
他の臓器に遮(さえぎ)られ、なかなかたどりつけません。
後腹膜臓器を訪ねるには背中側から!
後腹膜臓器が分かったところで、
第二の山場、「副腎」に入ります。
副腎は第一の山場
「下垂体」からコントロールを受けているところ。
そして出るホルモンがよく試験に出る意味でも「山場」です。
副腎は外側(皮質)と内側(髄質)に分けられます。
どちらからもホルモンが出ますよ。
脂溶性・水溶性でホルモンを分けるとき、
副腎皮質から出るホルモンは脂溶性ホルモンです。
あとの脂溶性ホルモンは
カルシトニンを除く甲状腺ホルモンと、性ホルモン。
脂溶性ホルモンの方が少ないので、
脂溶性ホルモンは覚えてしまいましょうね。
内側から出るのが「副腎髄質ホルモン」。
ここにはアドレナリン、ノルアドレナリンが含まれます。
自律神経のうち、交感神経系で働くホルモンです。
自律神経とは、
意識せずに(無意識で)働いてくれる神経のこと。
自律神経は交感神経系と副交感神経系があります。
交感神経系は興奮モード担当、
副交感神経系はリラックスモード担当です。
外側(皮質)から出るのが「副腎皮質ホルモン」。
アルドステロンと、コルチゾール(コルチコステロイド)です。
どちらも別の呼び名で呼ばれることも多いです。
アルドステロンが「鉱質(ミネラル)コルチコイド」、
コルチゾールが「糖質(グルコ)コルチコイド」です。
別名がそれぞれのホルモンの働きを表していますね。
アルドステロンはミネラルに働くホルモン、
コルチゾールは血糖に働くホルモンです。
でも、それだけではありませんよ。
次回、もう少し詳しくおはなししますからね!
【今回の内容が関係するところ】(以下20220607更新)