9 呼吸器系のおはなし(2)肺(肺胞)と骨の基本(2)

同じく「家内感染?」なのが誤嚥性肺炎。

キーワードは「誤嚥」。

誤って嚥下してしまうこと、ですね。

本来消化器系ルートに飲み込まれる(嚥下)はずのものが、

気管(空気ルート)に入ってしまったものです。

多少の誤嚥なら、気管の繊毛や咳の力によって

空気ルートから消化管ルートへと押し出されていきます。

でも入り込むものが多くなってくると。

押し出しが間に合わずに、

気管支を通り肺胞へと到達してしまいます。

肺胞は袋状の行き止まり。

そこで消化器系ルートに行くはずだった

食べ物のかけら等を餌に細菌等が増えて、

炎症を起こしたものが誤嚥性肺炎です。

 

予防のためには、誤嚥対策とワクチン接種。

肺炎球菌だけでなく、

インフルエンザもワクチンで予防しておきましょう。

誤嚥対策のためには、

嚥下に必要なものを簡単に復習。

嚥下(飲み込み)には、

舌が動き、口が閉じ、神経の命令に従って、

周囲の筋肉が協同することが必要です。

「各筋肉と神経が正常に働かないと

うまく嚥下できない」ということですね。

筋肉・神経疾患、意識障害等があったら、誤嚥警報です。

また、これらは正常でも姿勢には注意!

椅子に浅く腰掛け、あごを上げた姿勢では

私たちでもすぐにむせてしまいます。

「むせ」というのは、

間違った方(空気ルート)に入りかけた水分(や食べ物)を、

肺に残った空気の力で

正しい方(消化器系ルート)へと押し戻すこと。

筋肉や神経がおかしくなって

うまくむせることができないと、

あっという間に「誤嚥」です。

 

イスに深く腰掛けて、少し前傾気味に、あごを引いて。

食事に集中できる環境を準備です。

坐位をとれないなら、

横向き(側臥位)で食べることも検討してみてください。

もちろん、上部消化器系でおはなしした

口腔衛生もお忘れなく!

 

市中感染とは言えないけど、

院内感染ともいえないのが環境要因による肺炎。

鳥類飼育によるオウム病、

家畜や猫居飼育によるQ熱。

あとは循環式風呂や温泉等で生じる

レジオネラによる肺炎です。

これらは、生活歴や行事等を

把握しないと確定が遅れます。

対処が遅れると呼吸困難が長引くことになりますから、

要注意ですよ。

 

環境因子ではあるけれど、

独立しておはなしする必要があるのが「塵肺症」です。

塵肺症は、無機粉塵を継続的に吸い込むことで

呼吸細気管支から

肺胞の線維増殖が起こってしまうもの。

「線維(化する)」ということは、

伸び縮みできていたものが

伸び縮みできなくなることを意味します。

 

無機粉塵で覚えておいてほしいものが

「アスベスト(石綿)」。

不燃断熱材として便利だったため

各所に使われていましたが…

現在新規建物等には使われていません。

改修が済んでいない建物等では、

残っていることがありますよ。

塵肺症が進むと、

肺がんや中皮腫を引き起こします。

中皮腫は腫瘍の1つなので、

「がん」のところでもう1度おはなししますね。