12 血液と免疫のおはなし(6)
血小板のおはなしに入ります。
血小板の役割は血を止めること。
「かさぶたづくり(止血)」には血小板が必要です。
でも、それだけではかさぶたはできません。
かさぶたを作るためには、血小板のほかに
カルシウム、ビタミンK、血液凝固因子が必要です。
では、かさぶたの作り方を簡単に説明。
出血(血管壁に傷)しているところがあると、
血小板が血液凝固因子を集める物質を出します。
血液凝固因子はたくさんの種類があり、
それらが順番通りに組みあがると
フィブリンが出来上がります。
フィブリンは血小板をからめとるひものようなもの。
フィブリンに血小板がからめとられて、
塊となったものがかさぶた(血栓)です。
ん?
カルシウムとビタミンKはどこに使うのかって?
カルシウムは血液凝固因子をくみ上げていくときに使います。
ビタミンKは血液凝固因子をつくるときの表面加工に必要です。
一度かさぶたができたらおしまい…では困ってしまいます。
血管の傷が治り、
体の表面にあるかさぶたはいつかははがれてなくなります。
体の内側(血管の内側)でかさぶたがはがれてしまっては、
どこかで引っかかってしまうかもしれません。
そんなことにならないように
「線溶(かさぶたとかし)」をしましょう。
血小板をからめとっている
フィブリンの糸を溶かしてしまうことが、線溶です。
プラスミンという酵素が線溶担当の酵素ですよ。
念のため、止血の重要性を確認しておきましょう。
血液は全身に
酸素と栄養分(グルコース等)を運ぶ役割があります。
ところが血液の通る管(血管)に傷があると、
血液が体の外に出て行ってしまいます。
血液が届かなくなった細胞は、
ATPを作ろうにも酸素も栄養分も届きません。
これでは、細胞は生きていけませんね。
だから、
血管の傷を一刻も早く埋めるための「止血」は
細胞が生きる(そしてヒトが生きる)ために
とても大事な働きをしているのです。
出血以外にも
細胞まで血液が届かなくなることがありますね。
何かが流れてきて詰まる「塞栓」も、
血管が圧迫されてつぶれることも
細胞まで十分な血液が届きません。
「なんだただの圧迫か…」ではありません。
圧迫されて酸素と栄養分が届かない細胞は、
ATPを作れません。
それでも圧迫が解消されずに血液が届かないままでは、
細胞が死んでしまいます(壊死)。
これ、寝たきりで問題になる
「褥瘡(じょくそう)」です。
だから、褥瘡予防には姿勢を一定時間で変えてあげる
「体位交換」が重要になるのです。
理由は、血管の圧迫を解消して
細胞まで血液を届けてあげるためですよ。
【今回の内容が関係するところ】(以下20220625更新)