12 血液と免疫のおはなし(7)
血小板の重要性、分かってくれましたよね。
今回は血小板に関係する病気についておはなしします。
2つ紹介しますが、
どちらも看護師国家試験によく出る病気です。
早いうちに理解するのが、吉ですよ。
1つ目が播種性血管内凝固症候群(DIC)。
漢字の通り、
種を播(ま)いたように、血管の中で、
固まってしまった病気です。
この病気の始まりは、
ちょっとした外傷(けが)や火傷(やけど)など。
ちょっとしたショックから、
血管の中で血栓(かさぶた)作りが始まってしまいます。
血栓はそのまま放っておいたら、
細い血管で詰まってしまうかもしれません。
それでは「細胞に酸素や栄養物を届ける」
血液の役目を果たせません。
だから「うわっ!溶かさなきゃ!」と
線溶が始まります。
こんなところで出血が起きたらどうなるか。
出血は止めないといけませんが、
まず血栓で血小板が使われて不足しています。
さらにせっかく血小板をかき集めたと思ったら、
線溶で溶けてしまいます。
「血栓だらけなのに、血が止まらない!」
これが、播種性血管内凝固症候群(DIC)の症状です。
続いて「血友病」のおはなし。
血液凝固因子は「順番通り」
組みあがることでフィブリンになります。
途中が欠けてしまったら、
完成品ができません。
その結果、血が止まるのが
異常に遅くなってしまったものが血友病です。
覚えること自体は簡単。
血液凝固因子8番(第Ⅷ因子)欠乏が血友病A、
血液凝固因子9番(第Ⅸ因子)欠乏が血友病Bです。
これ、看護師国家試験でよく出てきますからね。
血友病のおはなしは以前しましたよね。
そう、遺伝…性染色体上の遺伝子のおはなしをした
「10 DNA・RNA:遺伝子」のところです。
「X染色体上に原因遺伝子があって、
ヘテロでは発症しないけど
男性はX染色体が1つしかないから即発症!」の、
あのおはなしです。
そのときは
「ふーん、近親婚って悪い影響が濃縮されやすいんだー」
ぐらいの受け止めだったと思います。
今なら「うわ!止血が遅れるって、
それはヤバい状態だよ!」と分かってくれるはずです。
2つご紹介した血小板の病気。
どちらもよく国家試験で聞かれますからね。
さくっと覚えて、得点源にしちゃいましょう。
血球のおはなし、一段落。
次回からは血漿成分のおはなしに入りましょう。
「血漿タンパク質」と
「ヘモグロビン」のおはなしです。
【今回の内容が関係するところ】(以下20220625更新)