14 尿と腎臓のおはなし(6)
腎臓がおかしくなってきた…。
そんなときに、早く気付いてあげたいものです。
尿に出たらおかしい成分についておはなししますよ。
最初に、尿に出ていい成分を確認。
水、尿素、尿酸、クレアチニンなどは、
尿に出て何の問題もありません。
いらないものですから、
どんどん外に出してしまいましょう。
アンモニアはできれば尿素に変えてから
出した方がいい成分ですが、
体内に置きっぱなしにするよりは
体の外に出してしまった方がいいですね。
尿に出たら異常を疑うものは
「タンパク質・糖・ケトン体・胆汁色素・血液」です。
順に説明していきますよ。
まず、タンパク質。
タンパク質のもとになるアミノ酸は、
原尿に出ても再吸収されていきます。
これに対して、
タンパク質はもともと原尿に出ないものです。
その理由は大きさ。
アミノ酸は糸球体のざるを抜けますが、
アミノ酸がつながったタンパク質は
ざるの穴を抜けないのが正常です。
…それが尿に出てしまったら
「糸球体のざるの調子が変!」ということですね。
尿にタンパク質が出る病気はいろいろありますが、
代表的なものが「ネフローゼ症候群」です。
『症候群』なので、たくさんの病気の総称。
特徴は、持続的な高度のタンパク尿です。
血液中のタンパク質がどんどん尿に出て行ってしまいます。
だから、血液の浸透圧を保つアルブミンが減ってしまい、
全身性のむくみ(浮腫)が出てきてしまいます。
あと、特殊なタンパクが出る病気も覚えてしまいましょう。
多発性骨髄腫という病気になると、
「ベンス=ジョーンズタンパク」というタンパク質が出ます。
他の病気では出ないタンパク質ですから、
「悪いのは腎臓じゃなくて骨髄だ!」とすぐ分かりますね。
ちょっとした注意。
「尿にタンパク(タンパク質)が出た!」と聞くと、
全部病気のように聞こえてしまいますが…
健康な人でも尿にタンパク質が出ることはあります。
これを「生理的タンパク尿」といいます。
生理的タンパク尿の特徴は、
軽度・一時的・他に異常がないことです。
「軽度」というのは、尿に出たタンパク質の量が少ないこと。
「一次的」というのは「その時だけ」で、
「他に異常がない」はそのままの意味ですね。
健康な人でも、運動後、肉食後、
ストレスを受けた後(寒冷刺激等)では
尿にタンパクが出ます。
尿検査の前にこれらの条件に当てはまってしまうと、
「タンパクが出たから再検査!」なんてことが
起きるかもしれませんよ。
「糖・ケトン体」「胆汁色素」「血液」については
次回おはなししますね。
【今回の内容が関係するところ】(以下20220727更新)