2 エネルギー代謝と化学式のおはなし(1)
今回からは、エネルギー代謝のおはなしに入ります。
…その前に、ここで説明しておかないといけない
「化学式」についておはなししますね。
私の生化学講義の特徴は「化学式がない!」ですが。
さすがに、最低限の化学知識はないと困ります。
だから出来る限り厳選した「最低限」をおはなししますね。
きっと、大学(や専門学校)の化学よりはるかに簡単ですよ。
看護の生化学について勉強していくときに、
良く出てくる元素(記号)については覚えてしまった方が楽です。
水素(H)、炭素(C)、窒素(N)、
酸素(O)、硫黄(S)、リン(P)。
この6つはいま覚えてしまいましょう。
アルファベット(元素記号)を見たときに、
何を意味しているのか分かるようにしておいてくださいね。
それ以外の元素(記号)は、
出てきたときに理解すればいいですよ。
次に、原子・分子・イオンについて。
原子というのは一人でもいられるもの、
分子というのは1人でいると不安だから、
他のものと手をつないで安心できるもの。
イオンというのは1人でいると不安ですが、
物の貸し借りの関係で安心しているものです。
…これだけ?
はい、これだけ。
化学、難しくありませんでしたよね?
最低限これだけわかっていれば、
この先の生化学のおはなしに困ることはありません。
限界まで大事なところを絞りましたので、
ちゃんと覚えてしまってくださいね。
化学のおはなし、おわり。
代謝のおはなしに入りましょう。
「代謝」という言葉を何気なく使っていますが、
これは2つの意味を含んだ言葉です。
「ヒトが食べ物を食べ、栄養物を吸収し、
エネルギーを取り出して、不要物をすてること」
これは、『広い意味での代謝』です。
日常会話で出てくる「代謝」はこちらですね。
「細胞が近くまで運ばれてきた栄養物を取り入れ、
エネルギー(ATP)を取り出し、
不要物を捨ててよい形にして捨てること」
これは、『狭い意味での代謝』。
前回まで勉強してきた細胞に注目した代謝です。
この『広い意味での代謝』と『狭い意味での代謝』は、
一見違うものに見えて、
根っこのところでは深くつながっています。
最終的には
『狭い意味での代謝』のために『広い意味での代謝』があるんだ!
…と分かってくれるはずです。
でも、慣れるまでは「代謝」と見たら、
どちらの意味で使われているのか考えてくださいね。
細胞レベルか、人体レベルか。
そこを意識するだけでも代謝の理解が進んでいきますよ。
次回は、代謝の大まかな分類をしていきます。
【今回の内容が関係するところ】(以下20220220更新)