1 イントロダクション(バイタルサインに出てくるもの)
実習に行くと必ず測定するのがバイタルサイン。
「バイタルサイン」とは、体温・呼吸数・脈拍・血圧のことですが…
「なぜ測るのか」考えたことはありますか?
「体温」は、代謝と感染の有無を反映します。
感染は、免疫系の反応の結果。
血球のうち赤血球以外のおはなしがここにあたります。
代謝の大前提は「細胞の産生するATP」。
細胞がATPを作るためには、何が必要ですか?
グルコースと酸素、酵素も必要ですね。
これらを細胞に届けるためには、
「消化器系が(排出も含めて)働き」、
「ホルモンによるコントロールがなされて」、
「酵素の活性のための水分・電解質(ミネラル等)の調節」も必要です。
消化器系のところでは泌尿器系に近い生殖器系も含めて、
ホルモンのところには代謝異常も入れてしまいますよ。
そして体温産生には筋肉の果たす役割も大きいため、
筋肉系もここで扱うことにします。
「呼吸」が「止まると死んでしまう」ことは分かりますね。
なぜ呼吸が止まると死んでしまうのか?
代謝に必要な酸素を、体に取り入れることができなくなるからですね。
では、呼吸をするためには何が必要ですか?
「①通路が開いていて②肺胞が膨らみ、
③呼吸筋があって④胸腔内が陰圧で⑤胸郭があって、
⑥命令通りに動く」ことが必要です。
①~④は、呼吸器系と呼吸筋のおはなし。
⑤は骨格系のおはなしで、⑥が中枢についてのおはなしです。
中枢のところには神経系一般と、
そこに関係の深い精神系のおはなしも含めてしまいます。
「脈」「血圧」は、どちらも心臓の働きを反映しますね。
もちろん、血管系がないと成立しないおはなしです。
これら循環器系がないと、
せっかくの酸素も栄養物も細胞まで届かないことは、
今まで勉強してきた通り。
だからバイタルサインを測定するのです。
先程確認した「各種の働きがうまく動いているか」を
知る指標がバイタルサインですよ。
ここで意識してほしいことは
「どこがおかしくなると、どこに反映されるか」です。
脈・血圧が循環器系の異常を反映することは、すぐにイメージできます。
でも、体温が消化器系異常も反映することは意外と浮かびません。
今までの理解が科目別・分野別で止まってしまっていると
「つながり」が見えにくいかもしれません。
そんな人も大丈夫!
これから「つながり」も復習しつつ、
正常(生理学等)と異常(病態学)を頭に入れていきましょう!
なるべく正常(生化学・生理学・解剖学)も説明したいと思いますが、
分量上「ポイントだけ復習!」になってしまうところもあります。
仕方ありませんので、
そこは生化学・生理学・解剖学等で確認して下さいね。