3 糖質と糖質代謝のおはなし(2)
糖質の大まかな分類が終わったので、
今回は結合のおはなしからスタート。
「結合」とは、ものが手をつないでいること。
ここでは糖と糖の手のつなぎ方に名前が付いています。
『グリコシド結合』です。
グルコースとグルコースが手をつないでいるところを
イメージしてくれれば、覚えやすいですね。
このような結合の名前は、今後生化学の世界でたくさん出てきます。
細かい手のつなぎ方は気にしなくていいものがほとんどです。
だけど、手のつなぎ方の名前(結合の名前)は大事!
糖の間の結合はグリコシド結合、いいですね!
さて、このグリコシド結合にさらに数字が付いていることがあります。
「α1,4グリコシド結合」とか「α1,6グリコシド結合」などです。
これは手のつなぐ向きに関係してきます。
せっかくですので、(狭い意味での)多糖をちょっと詳しく見てみましょう。
多糖はたくさんの単糖が手をつないだもの。
一直線に手をつないだ状態が、植物細胞のセルロース(食物繊維)です。
私たちヒトにはセルロースを細かくするはさみ(酵素)がありません。
だから食物繊維は消化されません。
同じ植物細胞でも、デンプンは手のつなぎ方が違います。
一直線(横向き、としておきます)に手をつなぐだけではなく、
上下にも(縦向き、としておきます)手をつないでいます。
この横向き手つなぎが「α1,4グリコシド結合」、
縦向き手つなぎが「α1,6グリコシド結合」です。
では、デンプンはどうしてこんな手のつなぎ方をしているのかというと。
こうしていけば、同じ空間にたくさんの糖を貯めこめるようになります。
貯蔵目的なら、α1,6グリコシド結合も使っていった方がよさそうですね。
だから、植物の糖貯蔵形態はセルロースではなくてデンプンです。
同じように、私たち動物細胞も貯蔵用形態はα1,6グリコシド結合を使います。
先ほど見たデンプンよりも、
もっと縦方向にたくさんの枝分かれをしたものがグリコーゲンです。
ということは、もっと貯蔵効率がいいんですね。
グルコースからグリコーゲンを作るときにはATPを使います。
それは、余ったグルコースを効率的に貯めておくためです。
皆さんは冬の間に使っていた冬布団を、夏になったからといって捨てませんよね。
そのまま取っておくとかさばってしまうので、
圧縮袋等に入れて、収納の中に入れて取っておくはずです。
細胞も同じ。
いずれ必要になるものは、ちょっとエネルギーを使ってでも取っておくのです。
次回は、多糖のおはなしの続きですよ。
【今回の内容が関係するところ】(以下20220227更新)