4 血糖と糖尿病のおはなし(4)

前回からの続き

「細胞と高血糖(糖尿病)の関係について」です。

 

細胞は高血糖状態では腹ペコです。

さて、どうしましょう?

 

必要最低限のグルコースがあるとはいえ

…お腹が空いた細胞にとっては、もはや背に腹は代えられません。

グルコースにこだわってはいられません。

食べられるものは何でも食べて、ATPを作る必要があります。

 

そこで、「脂質からATPを作ること」がスタートします。

後で(脂質代謝のところで)説明しますが、

脂質からATPを作ると、

途中産物からケトン体がたくさん作られてきます。

脂質の代謝が盛んになって、血液中にケトン体があふれた結果。

…血液が酸性に傾いていきます。

血液は

「一定の酸性度合い・アルカリ性度合い」の範囲内になくてはいけません。

これを「血液pHのホメオスタシス(恒常性)を保つ必要がある」と

言います。

これが極端に崩れてしまうと、細胞は生きていけません。

 

つまり、高血糖状態が続くとどうなるんですか?

 

細胞が脂質からATPを取り出すようになったせいで、

血液pHが

「一定の酸性度合い・アルカリ性度合い」の範囲外に出てしまうのです。

もちろん、ヒトの体内にはpHを元に戻す働きがあります。

ありますが…追いつかないこともあり得るのです。

追いつかないと、

それだけ細胞が生きていくのによろしくない状態になります。

「けがをしても治りが遅い(新しい細胞が生まれて来にくい)」、

「病気になりやすい(体を守る細胞の働きが悪い)」

…細胞(ヒト)が生きていくうえでよろしくない状態ですね。

創傷治癒遅延・易感染性』と呼ばれる状態です。

 

血液が酸性に傾くことを「アシドーシス」と呼びます。

ケトン体のせいで酸(アシッド)に傾いたものは

ケトアシドーシス」と言いますよ。

詳しくは、もっと後の「酸性とアルカリ性のおはなし」でやりますね。

 

細胞がお腹へって、

仕方なく脂肪からATPを取り出し始めたら

最終的に細胞にとって悪い環境になっちゃったのか…。

 

そうですね。

まるで「海で遭難して一度海水を飲んでしまった後の話」です。

もっとも、その話は細胞の浸透圧関係なので

糖尿病の「pHが酸性に傾く」とは多少違うところはありますけどね。

「海遭難と海水」は、

「ビタミン・ミネラル」のところで説明できると思います。

 

前回の末梢神経障害に続き高血糖のせいで、

血液のpHまでおかしくなってしまうことが分かりました。

さらに、

血液pHが正常範囲内にいられるように頑張ってくれる臓器、

腎臓までおかしくなってきてしまいます。

次回は、腎臓と糖尿病の関係を見ていきましょう。