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7 脂質のおはなし(5)

2022年4月12日

今回は誘導脂質のおはなしですね。

誘導脂質というのは、

脂質(脂肪酸)をもとにして形を変えたもの

糖質のヘパリンやヒアルロン酸、

タンパク質のポルフィリンや神経伝達物質にあたるところです。

 

誘導脂質の代表はステロイドです。

…ステロイドの響きに身構えた人、いますよね。

「ステロイド」は、ある構造(形)を持っているもの

全てを含む呼び名(総称)です。

その形は炭素が基本になってできた六角形が3つと

五角形が1つくっついてできたもの。

これを「ステロイド核」と呼び、

ステロイド核があれば、それはみんなステロイドです。

ホルモンにだって、

ステロイド核が入っているものがありますよ。

 

…あれ?

ステロイドはドーピングの禁止薬物だし、

アトピーに使ったら最後だって聞いてたけど…違うの?

 

そこは脂質代謝やホルモンのところで説明が必要ですね。

もう少しお待ちあれ。

 

ここでおはなしするステロイドは、

コレステロールと胆汁酸です。

コレステロール、さっそく出てきましたね。

 

血管にたまると動脈硬化で危険なんだよね!

だから脂質は分解しなきゃいけないんでしょ?

 

確かに「たまれば」動脈硬化の一種(粥状硬化)の原因です。

でもコレステロールはホルモンのもとですよ。

 

えっ!

ホルモンって…体に大事なものだよね?

 

はい、体に大事なものです。

だから、脂質をちゃんと取らないと

誘導脂質ができずにホルモンを作ることができなくなります。

しかもコレステロールからできるホルモンは

性ホルモン(男性ホルモンも女性ホルモンも)が含まれます

だから食事を不必要に制限したダイエットでは、

体重は落ちても肌や髪はボロボロになってしまいます。

性ホルモンがうまく作れないせいですね。

もちろん子供を作ろうにも、

性ホルモンの働きなしでは子孫を残せませんよ。

 

そして何より細胞膜の成分でもあります。

細胞膜は硬すぎず柔らかすぎずが理想。

不飽和脂肪酸とともにコレステロールは

この「適度な硬さ」を保ってくれる大事な働きがあるのです。

細胞は一度作り終わったらおしまい、ではありません。

タンパク質の骨のところでもおはなししましたが、

古くなったものはどんどん作り替え対象。

作り替えるためには、細胞が分裂してくれないと困るのです。

そんなときに細胞膜がなかったら…

これまた各所に悪影響が出てきてしまうのです。

 

もう1つのステロイド、胆汁酸は

脂質代謝消化吸収パートで大活躍ですよ。

 

…コレステロールはただの悪者じゃなかったし、

ステロイドも全くいないと困るんだ…。

 

分かってくれましたね。

次回も体の役に立つ脂質の仲間についておはなししますよ。

 

【今回の内容が関係するところ】(以下20220413更新)