9 ビタミン・ミネラルのおはなし(6)
今回からは水溶性ビタミンのおはなしです。
水溶性ビタミンは欠乏症になりやすい…でしたね。
毎日とらないと欠乏しやすい、
大事なビタミンについて勉強していきましょう。
水溶性ビタミンには、
ビタミンBの一族とビタミンCが含まれます。
「Bの一族」とありますから、
ビタミンBは1つではありませんね。
ビタミンBには複数あることをお忘れなく!
ビタミンB1は、代謝(特に糖質代謝)の補酵素です。
補酵素…酵素を補うものですから、
タンパク質で出来た酵素(ハサミ)を助けるもののこと。
酵素は体の中の反応にあっちこっちで活躍していますから、
補酵素がないとあっちこっちが不調になってしまいます。
ビタミンBの一族は「何かの補酵素」が多いですよ。
そんなビタミンB1の欠乏症は脚気です。
明治時代から昭和初期に、たくさんの人がかかった病気です。
多発性神経炎、浮腫(むくみ)、そして心不全が主症状。
これは食生活の変化と大きな関連がありました。
江戸時代までは、農家の主食は玄米。
精米技術が向上し、白米が広まったのは明治時代からです。
白米は色がきれいで食べやすかったため、
あっという間に玄米から主食の座を奪い取りました。
その結果、どうなったのか。
玄米の胚芽に含まれていたビタミンB1が、
極端に不足してしまったのです。
しかも他の食品から
ビタミンB1を取ることができなかったため、
次々と脚気は広まっていった…という歴史があります。
じゃあ、ほかの食品からビタミンB1をとれる現在では
「脚気は古臭い病気」でいいのかというと。
残念ながら、そうは言えません。
インスタント食品に頼る生活では、
どうしてもビタミンB1が不足しがちになります。
大学進学や就職で1人暮らし。
食堂はあるけど時間もない、お金もない…。
これでは、脚気を発症してしまいます。
また、体調を壊して長期入院・絶食点滴…となったときに、
ちゃんと点滴内にビタミンB1が含まれていないと
長期入院によって脚気発症が起こっても、
何らおかしくないのです。
ビタミンB1は体内にためておけず、
欠乏症を起こしやすい水溶性ビタミンです。
毎日の食生活に、意識して豚肉を取り入れましょう。
大豆や胚芽米でもオッケーですが、
豚肉と比べてしまうと少々劣ります。
ニンニクはビタミンB1を吸収しやすい形にします。
できれば一緒に食べたい組み合わせですね。
【今回の内容が関係するところ】(以下20220517更新)