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9 各論4:体温(内分泌系):副腎・性腺(9)

2023年4月4日

アルドステロンが過剰にできてしまう悪性腫瘍等で

「抗アルドステロン薬」が使われることがあります。

スピロノラクトンの例でおはなししましょう。

https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00062337

これは降圧薬のおはなしのところで

以前でてきたお薬ですね。

 

このお薬は利尿・降圧剤として働きます。

主役ではないにせよ、

アルドステロンも尿に関係するホルモンですからね。

スピロノラクトンは

遠位尿細管でアルドステロンの働きを邪魔して、

ナトリウムイオンと水を捨てる(利尿)お薬。

ナトリウムイオンと交換されるはずの

カリウムイオンは捨てられませんから、

「カリウム保持性」の利尿薬です。

 

スピロノラクトンの禁忌は

降圧薬のところでもおはなししました。

副腎皮質機能低下症(アジソン病)に、

副腎皮質ホルモンのアルドステロンを邪魔する

薬を入れたらいけないことは、いいですよね?

腎臓の

「血液中のカリウムイオンを尿に捨てる」働きは、

アルドステロンが担当するお仕事。

これがうまくいっていない急性腎不全・無尿や

(その結果出てくる)高カリウム血症のときに、

アルドステロンを邪魔しては…さらに悪化してしまいます。

 

併用禁忌は抗リウマチ薬のタクロリムスと、

カリウム保持性利尿薬(お仲間)のエプレレノン。

そしてステロイド合成を邪魔するタイプの

抗がん剤(ミトタン)です。

アルドステロンもステロイドホルモンの一員。

本来必要なはずのアルドステロンすら邪魔されたら、

ミネラルとpHがピンチになってしまいます。

 

併用注意はかなりの量ですね。

降圧剤や血圧に関係する薬、

血中ミネラルのうち

特に高カリウム血症につながりうるもの等々。

アルドステロンが「水分」にも

「ミネラル(イオン)とpH」に関係するホルモンであることを

否が応でも理解できるはずです。

 

高カリウム血症につながりうるグループの中に、

消炎鎮痛剤(痛み止め)の一部も入っていますね。

 

これらを全部覚えるなんてできませんので。

薬の前には、添付文書のチェックを忘れずに!

 

次回はもう1つの副腎皮質ホルモン、

糖質コルチコイドのおはなしに入ります。

【今回の内容が関係するところ】(以下20230404更新)