2 ヒトの免疫の理解・確認(3)
続いてワクチン(予防接種)の確認。
「待ってなんかいないで、異物を体内に入れちゃおう!
一次応答さえ済ませれば、あとはこっちのものだ!」
これがワクチンの基本です。
もちろん、ただ異物を入れればいいというものではありません。
最低限一次応答してくれるように、
でも実際に病気になってしまわないように。
ぎりぎりのところを考えて「生ワクチン」、
「不活化ワクチン」、「トキソイド」という3種類に大別できます。
トキソイドというのは、
毒素がヒトの細胞に害を与えるもののワクチン。
毒素に対して抗体を作っておく必要があるものですね。
不活化ワクチンは、ウイルスが増えないように処理してあるもの。
イメージとしては「死んだウイルス」を入れてあるのですが…
「ウイルスは生物か?」という大疑問が
出てきてしまいますので「不活化」ですよ。
生ワクチンは増殖できるウイルスが入っています。
さすがにヒトに悪さをしにくいように加工してありますが(弱毒化)、
「病気を引き起こすウイルスそのもの」ですよ。
「なんで生ワクチンなんかあるの?
不活化ワクチンでいいじゃない!」
…疑問はごもっともですが。
現在、生ワクチンが使われているものは、
「不活化ワクチンでは免疫反応がうまく起こらなかった」ものばかり。
いわゆる「免疫をつけよう」と思ったら、
生ワクチンしかなかったものなんです。
だからワクチン接種時には常に気をつける必要がありますが、
特に生ワクチン接種時には体調不良があったら接種してはダメ!
そうでなくとも大忙しの白血球たちが、
新たな異物に対応しきれなくなってしまいますからね。
さて、ここまで確認してきたうえで。
従来のコロナウイルス達と新コロナちゃんの違い、
分かりますか?
「ええと…新コロナちゃんには、みんな一次応答…」
そうですね。
従来のコロナウイルス達だったら、
「かぜ」としてどこかで感染している可能性がありました。
一度感染すれば二次応答で反応できますし、
母子免疫で赤ちゃんも少しの間は安心していられます。
感染しても「かぜ」ですむなら、
ワクチンをわざわざ接種する必要もありません。
ワクチン接種が必要ということは、
「いきなり感染したら
後遺症はじめ大変なことが起こるかもしれない!」
ということでもありますからね。
でも新コロナちゃんに対しては
大人も子供も、
誰も(新コロナちゃんに対する)免疫情報を持っていません。
だから一次応答の、不十分な免疫状態で体を守るしかありません。
当然母子免疫もありませんし、
ワクチンどころか有効な薬も手探り状態です。
だから、新コロナちゃんで世界中大騒ぎが起こっているのです。
「ん?効く薬、ないの?」
現在、大急ぎで効く薬を探している真っ最中ですが…。
まだ「これなら!」と断定できるものはありませんね。
それが新コロナちゃんの問題を深刻にしている理由の1つです。
他にも新コロナちゃんには問題点がありますよ。
今度は「セントラルドグマ」の視点で
確認していくことにしましょう。