3 ちょっと寄り道:サイトカインストーム(3)
ここまで分かれば、
サイトカインストームのおはなしをしても大丈夫なはず。
サイトカインは、白血球たちの情報伝達に使われるもの。
異物を貪食し、変になってしまった細胞を処分するために、
白血球たちが働きやすい環境を作り出しているのですが…。
余りに活発に働きすぎると、
白血球の出したサイトカインのせいで、
ヒトの体が死んでしまいかねない免疫反応が起きてしまいます。
例えば、肺で白血球がサイトカインを出しすぎると、
白血球が気道(気管や気管支)に集合しようとします。
白血球が集合するために、
一緒に血管からしみ出た血漿
(組織液になりますね)もそこに集中して腫脹に。
結果、腫脹で気道が閉塞してしまうと…死の危険です。
肺のように1か所に集中したからこそ危険なこともありますが、
高熱や極度疲労、嘔気から始まって全身臓器が機能不全になる
多臓器不全(MOF)からも生命の危機!
このような、
サイトカインと白血球のポジティブフィードバック
(どんどん強化する方向に向かう「正のフィードバック」)で起こる、
致死的となりうる免疫反応が「サイトカインストーム」です。
このサイトカインストーム、
新コロナちゃんだけが原因ではありません。
エボラ出血熱や鳥インフルエンザのような
「うわっ!危なそう!」のものから、
各種の異物侵入に負けた敗血症でも起こる可能性があります。
さて…みなさんは「致死的ともなりうる免疫反応」を
他にも勉強しましたよね。
そう、アナフィラキシーショックです。
せっかくなので、
アナフィラキシーショックも簡単に確認しましょう。
まず、体の免疫が過剰に働きすぎてしまっている状態が
過敏症(アレルギー)。
Ⅰ型からⅣ型まで分かれていましたね。
特に異物侵入からすぐに(30分以内)出る即時型のⅠ型と、
異物侵入から反応までに時間のかかる(48~72時間)
遅延型のⅣ型。
この2つはよく看護師国家試験に出るので、
しっかり理解しておく必要がありますよ。
具体例もちゃんとイメージできていますか?
花粉症がⅠ型の、
結核の免疫有無を確認するツベルクリン反応がⅣ型の代表ですね。
ここまで確認したうえで。
アナフィラキシーショックはⅠ型の中で
特に免疫反応が過剰に起こったものです。
Ⅰ型のキーワードは「抗体(Ig-E)」「肥満細胞」「分泌顆粒」。
抗原(侵入した異物:花粉症なら花粉)が体に侵入したとき、
ガードマンの抗体(Ig-E)がそれを取り押さえ、
肥満細胞に異物追い出しの応援要請を出します。
肥満細胞は要請を受けて、
中にあった分泌顆粒(中に入っているのはヒスタミン)を放出。
ヒスタミンの働きで、涙や鼻水などが出て、
抗原が外に追い出されてめでたしめでたし…でしたね。