5 熱い!冷たい!(やけどと凍傷)(2):低温やけど
やけどの補足。
「低温やけど」のおはなしです。
やけどをしたとき「熱い!」と思うのが通常のやけど。
通常の感覚・運動神経のある人なら、
すぐに手を引っ込めて被害を最小限に食い止めることができます。
「熱い!」と気付かずにやけどが進んでいくもの…
それが「低温やけど」です。
低温やけどが起こる温度は60℃以下。
44℃でも、6時間以上接触していれば低温やけどが起こります。
具体的な例で行きましょうか。
こたつの熱源直下は、約60℃。
1時間以内に、低温やけどスタートです。
携帯カイロ(使い捨てカイロ)のは50~60℃。
これも(温度変化と場所変更がないなら)
1時間以内に低温やけどが始まります。
そして湯たんぽ表面は湯温にもよりますが45℃以上。
3時間接触していると、
十分低温やけどになってしまうのです。
低温やけどの特徴は、痛みが弱いこと。
赤みは出ますが、それも弱め。
水疱もできないほうが多いくらいです。
…一見、何も問題ないように見えますね。
ところが神経細胞の損傷は大きく、
「痛みが弱い」のは神経細胞がおかしくなったせい。
低温やけどを起こして、1週間ほどしてから
皮膚が白っぽく変化します。
いきなり黒色潰瘍化することも、
感染を起こして膿が出てくることもあります。
本来、血流がちゃんとしているならば
熱は周囲に広がり、低温やけどにならずに済みます。
でも、皮膚の下に(筋肉・脂肪等が少なく)骨が迫っている
ところでは熱の放散が遅れがち。
具体的には、かかと、くるぶし、ひざ…褥瘡に注意するところですね。
しかも寝返りを打つこともできないなら、
さらに血流が妨げられてしまいます。
病気等による寝たきりはもちろん、
新生児や泥酔者、
疲労困憊時の熟睡時も結構危険です。
低温やけどと分かったときの対処方法は、
前回の一般やけどと同じ。
でも受傷直後ではなくて、
あとになってから気付くことの方が多いですね。
膿(感染を起こしましたよ)や
黒色潰瘍(Ⅲ度相当で皮膚がありませんよ)なら、
早く病院にかかってください。
低温やけど防止には、局部を温めるのではなく
全体を温めてほしいのですが…
次に怖くなってくるのは暖房器具によるやけどですね。
でも、暖房器具で怖いのはやけどだけではありませんよ。
次回はちょっとだけ寄り道して、
一酸化炭素中毒についておはなしします。