5 総論:国レベルの侵入を減らす方法(2)
1類感染症は
全てが検疫所でブロック対象になる「検疫感染症」です。
「こんな病気(の原因になる微生物)日本に持ち込まれたら、
大変なことになる!」感染症ですね。
名前だけ並べてみますよ。
エボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、南米出血熱、
痘瘡(天然痘)、ペスト、マールブルグ病、ラッサ熱です。
中世ヨーロッパの人口を激減させたペストの名前があることから、
「持ち込まれたら大変!」のイメージが付くと思います。
2類感染症は、
一部が検疫感染症になりますね。
検疫対象になるものは
「中東呼吸器症候群のうちMERSコロナウイルスによるもの」と
「鳥インフルエンザのうちH5N1とH7N9によるもの」です。
ウイルスの名前や変な記号が出てきますが、ここでは気にせずに。
全てではなく、
「特にヒトに対する悪影響が大きい微生物によるもの」だけを
検疫でストップする必要がある…というだけです。
検疫不要の2類感染症は
「重症急性呼吸器症候群のうちSARSコロナウイルスによるもの」と、
ジフテリア、結核、急性灰白髄炎(ポリオ)です。
後ろ3つ(ジフテリア、結核、急性灰白髄炎)は予防接種対象なので、
あとでまた出てきますからね。
3類感染症はコレラ、腸チフス、パラチフス、
細菌性赤痢、腸管出血性大腸菌感染症ですね。
日本で耳にする機会が多いのは、腸管出血性大腸菌感染症でしょう。
それ以外は、
公衆衛生対策が進んだ状態ではあまり発生・流行しないものです。
とはいえ、大災害等で(下水処理不十分など)
「流行する前提」が整ってしまう可能性はあります。
4類感染症は、再び一部が検疫感染症になります。
検疫感染症になるのは、
ジカウイルス感染症、デング熱、チクングニア熱、マラリアです。
ここ、全部「蚊が媒介する病気」ですね。
検疫感染症以外の4類感染症はかなりの数になります。
一部だけの紹介にとどめますよ。
肝炎ウイルスA型・E型、エキノコックス、黄熱、オウム病、狂犬病。
あとはレジオネラ症や鳥インフルエンザ(2類指定以外)、
発疹チフスもここに入りますね。
ここの分類は「何の中にいるのか(何で感染するのか)」
意識できるようにしておきましょうね。
名前ずばりのオウム病と狂犬病、鳥インフルエンザはいいとして…。
エキノコックスはキツネにいる寄生虫。
黄熱は蚊(野口英世が野口ワクチンを作りましたよね)。
発疹チフスはダニ。
肝炎ウイルスA型・E型は魚介や肉の生食。
レジオネラは水の中…でしたよ。