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6 総論:個人(?)レベルの侵入を減らす方法(2)

具体的な滅菌方法としては

「加熱」「ガス」「放射線・紫外線」があります。

 

プリオンタンパクを滅菌できるのが、

水蒸気(「湿熱」)を使う高温蒸気滅菌機(オートクレーブ)。

オーブンに近い「乾熱法:180℃で30分」も、滅菌法の1つです。

もっと簡単なものが火炎滅菌。

「水膨れをつぶさなくちゃいけないときには、針の先を火で焼いて…」と

アウトドアの本に書いてあるのは、

「針の先を火炎滅菌していますよ」ということです。

当然ですが、熱に強いガラスや金属にしかできない滅菌法です。

 

プラスチックのような熱に弱い物には放射線滅菌。

コバルト60によるガンマ線滅菌はプラスチックにも使えますが…

残念ながら機械が大型。

小規模病院等では滅菌を外部委託するか、紫外線滅菌に頼らざるを得ません。

250~260㎚の光を出す殺菌灯

(ブラックライトみたいなもの)による滅菌です。

ただし、

機械によっては滅菌ではなく

「(一部微生物は死ぬ)殺菌」になってしまうことや、

長期使用でプラスチックやゴムの劣化が起こってしまうことは事実。

「紫外線によるタンパク質(有機化合物)変性」を思いだせば、

紫外線の限界もイメージしやすくなるはずです。

 

放射線以外でプラスチックを滅菌したいなら、

ガス滅菌という手もあります。

エチレンオキシドガス(EOG)や、ホルムアルデヒドガスによる滅菌です。

ガスは気体なので、細かいところにも入り込んでくれるのはいいところ。

でも終わった後にガスを十分に抜かないと、

ヒトの細胞にも悪影響が出てしまう可能性があるところは

注意が必要なところですよ。

 

微生物の存在が気になるものとしては、薬や血清も忘れてはいけません。

でも薬や血清等を「滅菌」したら、

変性等を起こして本来の役目を果たせなくなってしまう可能性があります。

そんなときには仕方がないので「除菌」です。

除菌は対象物から病原体(病原性微生物)を取り除くもの。

「殺す」わけではないことに注意ですね。

 

除菌は「ろ過」と「洗浄」で行われます。

薬や血清等に使うのは、

穴が0.22㎛のようにごくごく小さいメンブランフィルターによる「ろ過」。

「ろ過」は1年生の(基礎)化学で勉強してきた、

特定の固体と液体を分ける(分離する)方法ですね。

フィルターの穴の大きさ(孔径)を調整することで、

病原性微生物とそれ以外を分離するのですよ。

「洗浄」は水とセッケンで行う手洗いのイメージそのもの。

ここについては

「スタンダード・プリコーション」のところでも出てきますからね。

 

とりあえず「モノ」に対して微生物対策を確認してきました。

ただ、大病院ではこれらを専門に担当する人(もしくは業者さん)に

お願いすることになります。

少なくとも実習や病棟に勤めて

いきなりこれらの滅菌・除菌をする機会はないはずです。

看護師として実施する微生物対策は、

この先の「ヒト」と「ヒトの周辺」に対するおはなしになります。

そこで出てくるのが「消毒」です。