8 各論3:体温(消化器系):小腸・大腸(2)大腸(3:下痢と便秘7)

検査や手術前に使う下剤(便を強制的に排出させる薬)には、浣腸もありますね。

ここでは、良く使われるグリセリン浣腸を紹介します。

 

浣腸は、肛門から薬を入れてその作用を発揮させるもの。

グリセリン浣腸は排便を促すもので、

検査・手術前の腸内容物除去にも使われますね。

https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00048196

グリセリンは、脂質で勉強したベルトハンガーそのもの。

保水力(水を保つ力)が強く、

腸内にある水分を吸収して便の中へとしみ込んでいきます。

さらに「濃い」ために、「ぎゅうぎゅうすかすか(浸透圧)」に従って

腸管壁の水分を腸管の中へと引っ張り出します。

これは腸にとって刺激になりますから、排便につながる…というわけです。

 

禁忌は腸管内出血、腹腔内炎症、腸管に穿孔又はその恐れのある人。

そして吐気・嘔吐・激しい腹痛等の急性腹症が疑われる人、

全身衰弱の強い人や下部消化管手術直後の人にも禁忌です。

急性腹症は原因究明第一。

全身衰弱の人は、強制的排便によって体から水分が失われ、

ショックを起こす可能性があります。

それ以外の人は蠕動亢進によって悪影響

(出血増、穿孔拡大、手術縫合部離れ等)の可能性があるからですよ。

 

使用上の注意に「妊婦・妊娠可能性のある人では

子宮収縮による流早産の可能性」とも書いてありますね。

 

あとは肛門に入れたものが働く前に出てきてしまわないように、

大腸の走行を思い出しましょう。

左側を下にした横向き(左側臥位)なら、

直腸からS状、下行結腸へと薬が自然に流れてくれますよ!

 

「ぎゅうぎゅうすかすか(浸透圧)」に関係するものとして、

高浸透圧利尿製剤があります。

こちらは「利尿」なので、便ではなく尿を排出する薬ですね。

ここではD-マンニトール(マンニットール)をご紹介です。

https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00066871

 

D-マンニトールは、ヒトの体内で代謝(分解)されません。

そのままの形で、再球体でろ過され、

再吸収もされずに体の外に出ていきます。

一見、何のために体に入れたのか分からなくなりそうですが…。

ヒトの体の中(血管内)に入ったということは、

その分血管内が外と比べて「ぎゅうぎゅう」になったということ。

血管の外から中へ、水分が流れ込みますね。

そして血液は腎臓の糸球体で「ろ過」されます。

しみ出てきた水分もD-マンニトールも、ろ過されて原尿になります。

しかも再吸収されませんから、

血管の外にあった水分がどんどん尿になって出ていくのです。

その結果、脳脊髄液や房水といった血管外水分が減る

(減圧する)ことになるのです。

 

次回、D-マンニトールの禁忌等を確認していきましょう。