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7 各論1:イントロダクションと真菌

2020年6月23日

各論は、とにかく分量が多いです。

看護に必要なものに限定していきますが…それでも相当の量になります。

だからこそ「全体の中の位置関係」を見失ってはいけません。

 

各論は真菌から始まり、原虫、そしてプリオンタンパク。

続いて細菌。

マイコプラズマ、リケッチア、クラミジアを追加して、

最後にウイルスと進みます。

原則としてヒトに近い方から遠い方へと向かう流れです。

そして細菌とウイルスの部分が複雑かつ量が多くて、頭が痛くなる危険地帯です。

それぞれのブロックに到着したら、

さらにその中を大まかに分けてからおはなししておくことになります。

「微生物全体の、どの辺りかな?」を忘れないようにしてくださいね。

 

真菌は真核細胞なので、ヒトに一番近い微生物。

でも、真菌には細胞壁があります。

真菌に対する薬は、細胞壁を攻撃するものが多いですね。

真菌がどこで増えるかで、

「深在性真菌症」「深部皮膚真菌症」「表在性真菌症」と分けられます。

深在性は主に肺炎を引き起こすもの、

深部皮膚と表在性は皮膚に症状が出るもの…ですね。

 

深在性真菌症を引き起こす真菌は、常在菌のカンジダと、

それ以外(常在ではない)

クリプトコックス、ニューモシスチス・イロベチーがいます。

 

カンジダ・アルビカンスは消化管と膣にいる真菌。

カンジダ症として悪影響が出てくるのは、

「薬等によって菌交代症を起こした」又は

「免疫状態が極度に悪い(日和見感染)」のときです。

 

クリプトコックス・ネオフォルマンスは、

鳥の糞と土壌にいる「自然にその辺にいる」真菌。

健康な人の体に入り込んでも、何も起こりません。

免疫状態が悪い人の体に入り込むと、

肺や皮膚粘膜、脳で増殖するクリプトコックス症を引き起こします。

 

ニューモシスチス・イロベチーも「その辺にいる」真菌です。

これまた「免疫状態が極端に悪い(日和見感染)」ときには、

ニューモシスチス肺炎の原因です。

本によっては「カリニ肺炎」と書いてあるかもしれません。

それはニューモシスチス・イロベチーの昔の名前(旧名)が

「ニューモシスチス・カリニ」だったせい。

「カリニ肺炎=ニューモシスチス肺炎」で、日和見感染の代表ですからね。

 

深部皮膚真菌症にはそこまで有名な菌はいません。

表在性真菌症を引き起こす一連のグループ「皮膚糸状菌」の代表、

白癬菌(の一族)を覚えておきましょう。

「みずむし」の仲間たちですね。

皮膚のケラチンタンパクを分解して、栄養にしています。

角質化してはがれた細胞の中に胞子が入っています。

だから皮膚どうしの「接触」というより、

はがれた角質の「接触」になる

衣類・タオル・足ふきマット等で感染が広がります。

どこで増えるかで、名前がころころ変わります。

みずむし(足白癬)、シラクモ(頭部白癬)、爪みずむし(爪白癬)、

インキンタムシ(股部白癬)、ゼニタムシ(体部白癬)

…全部、白癬菌ですからね。

主に皮膚の表面にいるので外用薬になりますが、

奥まったところにいる爪白癬には内服薬が出ることもあります。

外用か内服か、ちゃんとチェックしてくださいね。