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11 精神のおはなし(2)双極性障害、統合失調症、物質使用障害、ストレス障害(9)

(2)適応障害

そこまで「衝撃的な体験等」に制限されずとも

生じるものが「適応障害」です。

ストレス状況に反応して、

3か月以内に生じる不安、焦燥感、抑うつ症状などにより、

日常生活や社会生活において

著しい障害が起きている状態です。

一見幸せそうな結婚や昇進等のライフイベントも

「ストレス状況」になりえます。

不安、焦燥、抑うつ等の情動症状と、

社会的・職業的・生活的機能障害が出てきますね。

 

何はなくとも休養第一!

それから、環境の調整です。

対象となるストレスを除ければよいのですが、

そうもいかないこともあります。

そんなときには認知行動療法等で、

抵抗性や対処能力を上げていきましょう。

早く治療を始めないと、

うつ病に移行してしまうこともありますよ。

 

(3)不安障害、強迫性障害、解離性障害

ストレスに対する防御の形は

「ホルモン」と「記憶」だけではありません。

ちょっと困ったストレス防御の例が、

「不安障害」「強迫性障害」「解離性障害」です。

 

不安障害とは、危険な状況や恐怖状況にあるときに生じる、

過剰な不安によって引き起こされる各種の自律神経症状。

思春期や青年期の女性に多く発症します。

「特定の恐怖症」や「社交不安障害」などもありますが、

ここでは「パニック障害」についておはなししますね。

 

パニック障害とは、突然起こる激しい動悸、発汗、頻脈、

ふるえ、息苦しさ、胸部不快感、めまい等

(自律神経症状)の体の異常と共に、

「このままでは死んでしまう!」という強い不安感に陥る病気。

毎度おなじみ、遺伝的要因と生理学的基盤(身体性・心因性)、

そして脳内神経伝達物質のバランス異常で起こります。

 

20代前半の女性に多く、パニック障害をもとに

公共機関や閉鎖空間等を含む広場恐怖が出てくることも。

認知のゆがみを修正する精神療法と、

選択性セロトニン再吸収阻害薬(SSRI)を用いる

薬物療法が用いられます。

治療しても約1割には効かず、

悪化したり、抑うつ化したりすることもあります。

薬が効いても、効果がちゃんと出たら飲み続けではなく、

頓服や漸減中止にしていきますよ。

 

強迫性障害は強迫観念又は強迫行為によって

日常生活が妨げられてしまうもの。

強迫観念は、本人の意志とは無関係に繰り返し沸き起こり、

除去できない不快なイメージや考えのことです。

強迫行為は

強迫観念に伴う不安を和らげるために行われる行動です。

例えば不潔恐怖を起こして

「つり革は汚い!」と考えてしまうことが強迫観念、

不潔恐怖に基づいて意味なく手洗い・シャワーを

繰り返してしまうことが強迫行為です。

一般的には本人に

「これって合理的じゃないよ…」という認識があります。

うつ病の併存も多く見られますね。

 

小児では不合理性の認識は少なく、

チック障害やトゥレット症候群と

併存することが多くなります。

チック障害やトゥレット症候群については、

もう少し先でおはなししますね。

とある事実・事態に直面しても

強迫行動をしないように繰り返し練習する

「曝露反応妨害法」と呼ばれる認知療法と、

選択性セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)を

中心にした薬物療法がとられます。