5 脳神経系と内分泌系のおはなし(14)
大事な脳を守る液体と膜のおはなしです。
脳を守る液体は脳脊髄液。
脳と脊髄…つまり中枢をぐるりと取り囲んで守ってくれています。
外側だけではなく、内側も脳脊髄液はめぐっていますよ。
大脳の断面に隙間があるところ…脳室は脳脊髄液の通路です。
脳室は4つあります。
左右に1つずつ、大脳の次におはなしする間脳のど真ん中に1つ、
かなり先でおはなしする橋と延髄の背中側に1つ。
それぞれの脳室の間にも通路があって、脳脊髄液が流れていけます。
そこから先、脊髄の方へも通路があります。
脊髄の周りも軟膜が取り巻いていますから、
その内側を脳脊髄液がみたして、ぐるりと一周できます。
脳脊髄液の役目は衝撃を和らげるクッションだけではありません。
全身細胞にとっての「リンパ」の役割も果たします。
余計な水分や、不要物を流し去ってくれるのですね。
…ということは。
脳脊髄液に細菌が入り込んだら、脳や脊髄がピンチ!ですね。
病気のあと、脳脊髄液に細菌が入り込んでいないかチェックするのが
「腰椎穿刺(ルンバール)」です。
「中枢のそばに何か刺すの?危ない!」
はい、ちゃんと刺す場所を確認しないととても危険な検査です。
刺す場所はヤコビー線に交わる、腰椎上から3番目か4番目の隙間です。
ヤコビー線というのは、
左右腸骨(腰骨の出っ張っているところ)を水平につなぐ線のことです。
そのあたりだと、脊髄は細い糸状になっています。
しかも、腰椎の隙間も広くなっています。
刺しやすく、脊髄を刺してしまう危険も少ない場所から、腰椎穿刺です。
取り巻く膜のおはなし。
脳を衝撃から守る膜は、3層構造です。
骨にくっついている外側の硬膜、
脳や脊髄をぐるりと包む内側の軟膜。
硬膜と軟膜の間にある、くも膜です。
くも膜の中にはさらに小柱空間があり、クッションの役割をしています。
急に衝撃を受けたとき、脳は膜と液体で守られます。
でも、骨と脳の両方につながっている血管にはそんなクッションはありません。
急に引っ張られた結果、血管が裂けたり切れたりすると出血!
これがくも膜下出血。
小柱空間の中を流れる脳脊髄液が真っ赤になってしまいます。
突然ひどい頭痛がして続いているなら、すぐに病院へ!
くも膜下出血のせいかもしれませんよ。
次回は脳ガードの大本命、頭蓋骨のおはなしです。