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10 脳神経系のおはなし(3)変性障害と異常の結果(8)

けいれんは対症療法になることが多い以上、

本人や家族、さらには学校や職場等の協力が欠かせません。

小児・学童では、家族や学校・保育所等の理解がとても大事!

体育(水泳)、入浴時には決して目を離さないこと。

いつ、想定外の発作が起こるか分かりませんからね。

 

本人には規則正しい生活をして、良く寝ること、

そして薬をしっかり飲むことの確認ですね。

青年期には発作のコントロールが就労継続につながります。

薬を飲み、疲労をためずに。

運転免許の有無は就業可能性を広げますから、

ちゃんと薬を飲んで発作を抑えましょう。

「(運転に支障する恐れのある)発作が2年ないこと」が

大前提になりますよ

(道路交通法施行令第33条の2の3第2項第1号)。

妊娠出産も可能ですが、

各種合併症が出やすいことを覚えておいてください。

抗てんかん薬は、

一部胎児に伝わるものや母乳に出るものがありますから、

計画的な妊娠が望まれますね。

また授乳中に発作を起こしてしまっても子供にけがをさせないように、

あらかじめ準備・練習しておくことも大事ですよ。

老年期は薬物代謝が低下しますから、併用薬と副作用に注意!

認知症が出てしまったら、

服薬管理は介護者の協力が必要になりますよ。

症状の派手さや事故の結果にばかり目が行きがちなもの。

「何が起きたせいで、何が起こっているのか」を

ちゃんと理解してくださいね。

 

(4)ナルコレプシー

よく分からないけど

「神経細胞の働きで何か変?」なものとして、

「ナルコレプシー」もありますね。

睡眠発作、脱力発作、入眠時幻覚、睡眠麻痺が4主徴です。

睡眠麻痺というのは

睡眠時の全身脱力と中途半端な意識覚醒が同時に起こった状態。

幻覚と一緒に起こると「金縛り」と意識されることもありますね。

視床下部の神経細胞の働きが良くないことで、

脳内モノアミンのバランスが変になり、

過眠・睡眠分断化・レム睡眠関連症状が出ているのでは、

とされています。

 

モノアミンというのは、

神経伝達物質の一部(一群)を指す呼び名。

アミノ基が1個含まれるセロトニン、ヒスタミン、

ノルアドレナリン、アドレナリン、ドーパミンが含まます。

カテコール基をもつノルアドレナリン、アドレナリン、

ドーパミンは、「カテコールアミン」とも呼ばれますよ。

薬物療法が主に行われますが、

本人にも、家族にも、職場等にも十分な理解を得ることが必要です。

規則正しい生活をして、夜はちゃんと寝ること。

昼休みも、少し寝ておくといいですね。

 

以上、脳と脊髄の異常についておはなししてきました。

今までにもありましたが、

今回は特に途中で「せん妄」や「精神症状」等の

言葉が出てきましたね。

そして「ドーパミン」や「モノアミン」といった

精神伝達物質の名前も出てきました。

これらの「精神分野」も理解しないと、

今回のおはなしは一部イメージの沸かない

中途半端なものになってしまいます。

 

それはもったいないので、

次回からは「精神分野」のおはなしです。

中枢に情報を伝える、もしくは中枢からの命令を伝える

末梢神経系のおはなしは、その後にしますからね。